智弁和歌山の強さとは、部員数の少なさ?
夏の甲子園、和歌山代表の智弁和歌山高校が勝ち、高嶋監督さんはPL学園の中村監督さんが持っている甲子園最多勝記録に並んだそうです。
ただ某テレビ番組で特集していましたが、智弁和歌山というのは、高校野球界の常識を覆した方法で、チームを作っていると言います。
というのもこの高校は以前、甲子園で全然勝てない学校でした。
参加校が少ない和歌山県大会を突破するのはできても、甲子園に来ると負けてばかりで全然勝てない。
「また負けに来たんか」とよく言われたそうです。
そこでどうしたら甲子園で勝てるのか、考えたそうです。
いや、なぜ勝てないのかを。
そうしてこの監督さんが始めたのは、「1学年10人しか部員を入れない」ということでした。
ええっ、、、????と言う感じですよね。
でもそれで、甲子園で最多勝に並ぶほど、勝てるようになったわけです。
いったいなぜ?
母集団が多ければいいと言うわけではない
甲子園常連校ともなると、部員は百人を超えたりします。
この高校も、かつてはそれくらい部員がいたそうです。
部員がたくさんおれば、その中から頭角を現す子供がいます。
そう言う子供をピックアップしてチームを作れば、地方予選を勝ち抜くのは、難しくありません。
競争原理によって勝ち抜いてきた子供を選手にすれば、能力的に強いチームはできます。
ところが全国大会では、それでは勝てなかったわけです。
その理由を「チーム力のなさ」と監督は捉えたようです。
甲子園で強いチームは、選手個々の力も優れているが、チーム力がある。
それがこの高校のチームにはないらしい。
東京や神奈川の予選では、公立高校が上位に進出したりします。
私立高校が日本一多いブロックで、なぜそんな事が起こるのか?
良いピッチャーがいると言うだけでは、説明できません。
数年前、公立高校の佐賀北が全国優勝したのだって、選手個々の力は、大都市の高校の選手と比べて大したことはない。
なのにあれよあれよと言うウチに、優勝してしまったし。
公立高校が勝てるわけ
元々部員数の少ない公立高校が、なぜ上位に進出できるか。
一番の理由は、ピッチャーが良かったという事でしょう。
無名の公立高校が勝ち上がるときは、たいていピッチャーがいい。
だからそのピッチャーが抜けた翌年は、一回戦負けだったりします。
ただそれだけで勝ち上がれるかというと、そうでもない。
ピッチャーが0点に抑えても、攻撃陣が点を取らなければ勝てないわけですから。
ピッチャーが0点に抑えて、攻撃陣が一丸となって相手ピッチャーを攻める。
少ない部員が役割を分担して、1点を取るための野球をやる。
そこには「よーし、俺にまかせとけ、ホームランで決めてやる」と言うような選手はいないわけですね。
四球やエラーで出塁して、送りバントや進塁打でランナーを進めて犠牲フライやスクイズバントで点を取る。
上位進出する公立高校は、そうやって勝ち上がっているわけです。
じゃあなぜそう言う戦いができるのかというと、公立校は生徒数が少なく「部員数が少ない」という制約があるからです。
部員数が少ない → 連打が期待できない → つなぐ野球
ってことですね。