やりたいことは「嘆き」で見つかる。
大学に進学するなら、やりたいことを見つけて、進路を決めねばなりません。
そのために大きな手がかりとなるのが、「嘆き」です。
「嘆き? なんで嘆き?」
そんな声が聞こえてきそうです。
しかし哲学博士の出口光(でぐち・ひかる)さんによると、人が本当にやりたいこと・やるべきことというのは、達成が難しい事なんだと言います。
簡単に達成できてしまうものと言うのは、その人の本当にやりたいことではない、と言います。
なぜ本当にやりたいことの達成が難しいかというと、それは自分が本当に欲しているので、知らず知らずに自分に高いハードルを設定しているからだと言います。
高いハードルは、なかなか越えられません。そして「何で自分にはできないんだ」と嘆くわけですね。
たとえば強さを追究している人は、周囲から見て充分強くても「まだまだ自分は弱い」と思っています。
それは彼らが求めている強さが、一般の人の求めている強さより、はるかに上のレベルの強さだからです。
だから「そこまでしなくても...」というくらい、トレーニングしたり、稽古に汗を流します。
そして「なぜもっと強くなれないんだろう?」と嘆くわけです。
また一流のファッションモデルは、信じられないほど節制していますが、それはモデルとしての美を真剣に追求しているからです。
普通の人から見て、充分スタイルが良いのに、なぜかさらにダイエットしている人も、自分のスタイルに対してのハードルが高いので、「まだまだだ」って思っているわけです。
そして「どうしてもっと美しくなれないんだろう」と嘆くわけです。
これって傍から見たら、もう病気ですよね。しかしそこに、天命が潜んでいるんだといいます。
一方、自分が本当にしたいことでなければ、人は自分にそんなに高いハードルは課しませんし、嘆きません。
表面的に強くなりたいと思っていても、60キロのバーベルが上がれば、もういいかということになります。
強さなんて追求してもキリがないし、黒帯取ったからそれでいいか...ということになります。
また表面的にモデル体型にあこがれていても、そうなることを本当に望んでいなければ、ちょっと痩せただけで良しとします。
3キロもやせて、他人から「痩せた?」とでも言われれば、それでOKになってしまいます。
ハードルが高くないので、こういう事はそこそこの努力で達成できてしまうわけですね。
だから、自分が達成できなくて嘆いている方向に、その人が本当に達成したいことがあるというわけです。
これを学部・学科選びで考えると、たとえば英語の点数が良いのに、なぜかもっと英語がわかるようになりたい。
こういう人は、英語を極める方向に達成したいモノがあります。
英語をなぜ極めたいのか、その理由の中に、求めているモノがある可能性が大だということです。
外国語を使って何かをしたいため、そういう事が起こるわけです。
数学や理科、社会など、傍から見れば充分OKなのに、さらに追求したいものがあれば、恐らくそちらの方向です。
一方、「これくらいでいいや」と思っているモノは、本当にやりたいことではない可能性が大です。
自分の本当に進みたい方向はどちらにあるのか、今から考えるクセをつけておいてください。
そちらにアナタの本当にやりたいことが潜んでいる可能性が大です。