数学の学習戦略(1) 何を優先して勉強するか?

数学の単元は、大きくわけると二つに分けることができます。

 

 一つは、系統だった学習が必要な単元、そしてもう一つはその単元が他の単元から比較的独立していて、その単元だけでかなりの学習が可能な単元です。

 

 たとえば微積分といった単元は、それだけで独立しているわけではありません。

 

一次関数や二次関数といった、それまでに学んだ関数の知識が必要です。

 

 微積分というのは、関数が前提ですから、関数に詳しくならなければ、先には進めません。

 

 しかし数列とか確率とか、整数論とか行列といった単元には、そう言う知識は、それほど重要ではありません。

 

 数列でも行列でも確率でも、使う計算は四則演算、すなわち足し算・引き算・かけ算・わり算と、その応用だけですから、難しい概念というのはないのです。

 

 だから中学生、いや、もしかしたら小学生に教えても、理解できるかも知れません。

 

 数学の学習には、この二種類の単元を、うまく使って勉強することが肝要です。

 

 なぜなら「とにかく、何点でもいいから点数を上げたい!」という人が、系統だった学習が必要な単元を勉強しても、すぐに成績が良くなるわけではないからです。

 

 こういう単元は、わからなくなったら、かなり昔の勉強までさかのぼる必要がありますし、他のいろんな単元の勉強もしなければ、総合的な学力は上がりません。


 逆に比較的独立した単元なら、勉強すればすぐに成績を上げることが可能になります。

 

 数列、確率、場合の数、整数論など、とにかくそれだけを一月でもやれば、かなり理解できるようになるでしょう。

 

 わからなくなっても、単元の最初に戻って最初からやるだけですみますし、練習しさえすれば持ち直せます。

 

 さらに戻るとしたら、小学生だとか中学生の単元と言うことになりますが、たとえ戻ったとしても、やるのにさほど時間はかかりません。

 

 何しろ小中学生の単元ですし、戻ってやればまた新たなる視点で勉強し直せるので、かなり簡単です。

 

 ですから、数学全般に渡って苦手だったとしたらまず、比較的独立した単元から攻略する方が、点数を上げやすいと言うことになります。

 

 数列・行列、確率といった単元は、細野本でも比較的系統立った勉強が可能ですし、しかも一度やり方を覚えて、解法パターンをノートにまとめたら、そうそう忘れると言うものでもありません。

 

 この方面の単元を習得したからと言って、数学全般の力は上げられませんが、しかし苦手意識のある受験生なら、数学的な話の展開の仕方や式の変形のパターンなど、学ぶところも多いかと思います。

 

 そうして数列、行列、確率といった分野で確実に点数が取れるようにまずしておき、そこから他の系統だった単元の攻略に進めばいいワケです。

 

 ランチェスター戦略で言う「エリア戦略」で、やるわけですね。

 

 弱者の戦略とは、常にそう言った「一点突破」「狭い範囲に全努力を集中」という形でないと、展望が開けません。

 

 そうしてそこで培った様々なノウハウを糧にして、ベクトルや微積分と言った方面に進攻すればいいのです。

 

 英語では、まず英熟語文を覚えてから、英単語の勉強に進んだ方が楽だと書きましたが、数学でもそうやって勉強を進めた方が、やはり楽になります。

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