英語が合否を分ける鍵
さて、受験勉強のプライオリティ(優先順位)は、英語、理社国、最後に数学だ…、と書きました。
ではその英語で合否を分ける鍵があるとしたら、何でしょう?
それはもう、和文英訳・自由英作文です。
英語力のあるなしは、和文英訳・自由英作文でハッキリわかってしまいます。
英文和訳は、英単語や熟語がわかっていれば、前後の文脈や構文などから意味を取って、なんとか日本語にできますが、和文英訳・自由英作文は、そんなに簡単ではありません。
減点しようと思ったら、いくらでも減点ポイントはありますし、また英文和訳はまともなのに、和文英訳になると無茶苦茶という人も、山ほどいます。
たとえば日本語で同じに訳になる英単語でも、実は指し示す意味が違ったりします。
英語というのは動詞が多彩で、動詞で細かい意味を表す言語ですから、同じ「見る」でも、
- see; look ((at));
- 《ちらりと見る》glance ((at));
- 《じっと見る》gaze ((at));
- 《観察する》observe; watch;
- 《視察する》inspect;
というふうに、決まった単語があるわけです。
だから同じ「見る」でも、その決まった単語と全然違う単語を使ったら、それだけで減点対象です。
和訳の場合は、上にあげた英単語なら、とりあえず「見る」と訳せば日本語としては意味が通る文になりますから、大幅な減点にはなりません。
英語では和文英訳の勉強が、重要
それに対し、英訳の場合は、同じ「見る」でも動詞をちゃんと使い分けねば×(バツ)というわけですから、英文和訳がそこそこできるのに、和文英訳が全くダメ…というのも道理です。
また、和文英訳が無茶苦茶になる別の原因として、たいていの受験生が「日本語を曖昧(あいまい)に使っている」ということもあります。
去年も今年も
「私の和文英訳(和文和訳)を添削してください」
という受験生が何人かいて、その答案を見させていただきましたが、たいてい和文の意味自体をとりちがえています。
ひどいときには、いつの間にか自分の書きたい内容に、スリ替わっていたりして、唖然(あぜん)とします。
意味の取り違えが起こる原因は、日本語に曖昧な表現が多いせいでもありますが、結局、主語と述語という「核文(かくぶん)」や、筆者の主張や表現しているところをハッキリと捉えていないから、ということでしょう。
だから逆に、和文英訳がそこそこわかるようになると、英文和訳も小論文も劇的に良くなります。
和文英訳がまともになるというのは、英語と日本語の表現の違いがわかってきた証拠ですし、言葉の使い方に繊細さや緻密さが加わってくるということですから、日本語で書く文も見事になってきます。
和文英訳の配点が50点だったら、できる人とできない人では30点以上点差がつくはずですから、和文英訳をしっかりやるというのが、合否の大きな分かれ目になります。