フィボナッチ数列が背景にある問題も多い
フィボナッチ数列というのは簡単な漸化式の数列です。
最初の二項が1で、第三項以降の項がすべて直前の二項の和になっている数列です。
a(n+2) = a(n) + a(n+1), a1=a2=1
具体的に言うと、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89…という数列でで、イタリアの数学者レオナルド=フィボナッチの名がついた数列です。
しかし偶数項と奇数項で挙動が異なります。
しかも数列の各項の係数は自然数なのに、一般項はなんと<無理数>で記述されるという、不思議な数列です。
さらに隣り合う項の比を無限大に収束させると、なんと正五角形の対角線などに現れる「黄金比」になってしまうというものです。
こういう不思議な現象は面白いし、受験生を惑わすのに格好の題材なので、さまざまな形で出題されます。
たとえば『大数学者に学ぶ入試数学1A』(秋山仁編、数研出版)には、
★ウサギの頭数の増え方
★タイルの敷き詰め方、
★階段の登り方
という三種類の問題が載っていますが、たしか私が受験した頃の京大の確率の問題などでも、似たような問題があったように記憶しています。
知ってるかどうかだけで、迷うかどうかが変わる
こういう数列が存在するというのは、普通の受験生にとっては未知のモノです。
だから、答えに「これはフィボナッチ数列であるから、一般項は●●で…」とは書けませんが、フィボナッチ数列を背景に持つ問題なら、この数列を知っているかどうかは、非常に大きな差になってしまいます。
たとえば一般項を計算していて、途中から無理数がゴチャゴチャ出てきたときに、フィボナッチ数列を知っている人は
「よしよし…合ってるな。順調・順調」
と思う一方で、知らない人は
「ええっ、なんで無理数のn乗なんかでてくるんや? オレの計算どっかで間違うとるのか???」
と逆に不安になる可能性が大きいですから、それだけで天と地ほども違ってきます。
因みに私は後者の方でしたが、途中の検算にものすごい時間を使って、落ちたような…。
そういうわけで、フィボナッチ数列を知っておれば、解の形の大まかなイメージを作ることができる一方で、知らなければ何のことかサッパリという状態ができることになります。
知識があることによって、問題と解との関係が見えるわけですね。
難関大学に合格するためには、そうやって高校から一歩踏み出した知識も、必要になってくるのです。