仮面浪人は、精神的に悪い。
大学というのは、中学や高校とは全然違うところだから、安易に考えてはいけない…という話をしましたね。
「どこでもいいから、入れるところに入っとこ…」
なんて感じで大学を選んだら、えらい目に遭います。
えらい目に遭って、十年以上ものたうち回っていた私が言うんだから、間違いないです。
仮面浪人なんて、周囲が応援してくれなければ、まず成功しません。
タダの浪人でも、学費や生活費稼ぎながら勉強するのは大変なんです。
そこに大学の勉強が加わり、大学の友人たちと交流したりなんかすると、もう中途半端。
それにたとえ仮面でも、大学生になれば、気は緩みます。
何しろもう、タダの浪人生ではなく、とにかく外見的には『成功者』になってしまうのですから、次の年に絶対受かろう! なんて意欲は、無くなってしまいます。
浪人生が大学合格を目指すのと、仮面浪人が大学合格を目指すのとでは、どうしてもそういうところで差が付きます。
目指す大学・学部に合格するのが100%の満足どだとすると、大学に行ってしまうと、半分くらいは達成されてしまうのです。
浪人だと0%の状態ですが、仮面浪人だと30%とか40%とか。
そんな状態で大学で友達ができたり、さらに好きな人でもできたなら、何となく60%とか70%の満足度になってしまいます。
でも実は、それは本当にやりたいことではない偽りの生活ですから、とんでもなく、アンビバレント(ambivalent)な学生生活になってしまいます。
これって実は、かなり不幸です。
トンでもなく不幸です。
周囲には、それなりに満足して大学生活を送っている人が多いのに、その中で不満を抱えて生活しなければならない。
自分だけ、川の流れに逆行して立っているような、ひどい状態。
自分だけ、幸せから取り残されているような、惨めな状態。
仮面浪人なんて、体に悪いです。
だから絶対に、そういう道を歩くべきではない!
行ける大学に、有り難く行かせてもらう…なんて、二十歳前後の人間が考えていたら、いけません。
行きたい大学を受験して、うまくいったら良し。
ダメだったら、そこでまた考える。
こっちが、まともな人間のやり方です。