医学部受験なのに、なぜ生物学で受けないのか?
京大の医学部が、センターで生物1Bを必須とするそうです。
平成18年のセンター試験からは、理科は物理・化学・生物という3科目を必修として課すと言うことが、京大のwebサイトに載っていました。
京大の医学部が、生物1Bを必須としたのには、もちろんワケがあります。
というのも実は、生物を勉強せずに医学部に来る学生があまりにも多いのです。
理科で生物を取らずに合格したおかげで、医学部の学生に対して生物の授業の補習をしなければならないありさまだから、生物を必修にしたわけです。
この問題は昔から問題になっていて、ボクが大学にいた頃も「生物での受験を推奨」などと言っていましたが、その傾向は一向に改まらなかったようです。
医学を志すというのに、生物の基礎知識もしっかり学ばずに医学部へ進学する、そういう学生があまりにも増えてしまったために、医学部も「センターくらいは生物も受けてよ!」ということを決めざるを得なかったようです。
でもなぜ医学部志望の受験生が、理科で生物を取らないのでしょうか?
不思議と言えば、不思議な話ですよね。
でもこれには大きな理由があるんです。
点数が計算できる科目で高得点を狙う
以前の京大の医学部の理科の選択科目は、物理・化学・生物のなかから2科目でした。
医学部がセンターで生物を必須としなければならないと言うことですから、医学部の受験生の殆どが、物理・化学という組合せで受験していたと言うことなのでしょう。
京大の医学部と言えば、日本では最難関の医学部の一つです。
生体肝移植やiPS細胞研究など、様々な実績を持ちます。
そういう最難関の学部を目指す受験生がなぜ、生物・化学という組合せでなく、物理・化学という組合せで受験するのか?
それは、ハッキリ言ってしまうと「生物1B/2より、物理1B/2のほうが、より点数が取りやすい」ということなのです。
京大の医学部ともなると、センターで90%以上の得点がボーダーで、2次試験でも80%くらいは点を取らねばなりません。
そのためには、どうしても物理を選択せざるを得ないのです。
物理なら満点がねらえます。が、生物なら満点がねらえない。
この差が大きいのです。
高校で習う範囲の定理や法則で解ける問題は、物理ではパターンが限られています。力学・熱・波動・電磁気…この四分野しかありません。
物理2は、この応用に過ぎませんし、パターンとしては大して違いがない。勉強すればするほど、満点に近い点を取ることが可能です。
けれども生物となると、問題の背景となる生物現象はものすごくたくさんあるので、いくらでも変わった問題が作れる。