受験勉強のプライオリティ2

 数学は虚学で、それ以外の科目は実学だ、という話があります。

 虚学というのは、実学でない学問のことで、その実学とは、簡単に言えば、研究対象が万人の目に見える学問…と言うことです。

 万人の目に見えるわけですから、やることは、それをより深く観察したり、より深く理解したり、またそれを応用して何かを作ったり、何かを為したりするだけです。

 だから数学以外の科目は、小学校から大学入試まで、やること自体はたいして変わりません。

 たとえば今の中学生がやっている英語と高校の英語を比べてみても、文法的に、まるで内容が違うわけではありません。

 不定詞も完了形も中学で学んでいて、

「あれ、こんなこと、中学で勉強しとったんか?」

と思うくらいです。

 高校で新しく出てくる『仮定法』や『分詞構文』などは、確かに難しいですが、しかし英語というのが言葉であって、何か伝えたいことを表現するルールにすぎないと言うことに気づけば、後はそれに慣れるだけです。

 また理科や社会だって、小学生・中学生・高校生と進むにつれて、より詳しくなるだけで、本質的に全く異質なことをを学んでいるわけでもありません。

 だから小学生や中学生を教えていて

「これって、大学受験でも出てくるような話やな」

と思うことが、よくあります。

 図にすると、こんな感じです。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 小学校の知識   ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
↓プラスα(より詳しく・より広く)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 中学校の知識   ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
↓プラスα(より詳しく・より論理的に)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 高校の知識    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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●数学は、イノベーションのオンパレード
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 ところが数学ときたら、全く違います。

 生徒が分からないと行って持ってくる問題で、

「高校の範囲やったら、簡単に解けるのに」
「三角関数が使えたら、一瞬で解けるのに」

と思うことが、しょっちゅうです。

 たとえば場合の数や確率などは、中学でもありますが、コンビネーションを使わずに解いたり、説明するのには、相当骨がいります。

 図形の問題でも、三角関数やベクトルの考えを使えば、すぐに答えが出るような問題でも、ああだこうだしながら、『あの定理は使えない、この知識は使えない』と相当苦労します。

 たとえば座標上の三角形の一つの頂点が原点にあれば、その三角形の面積は、
   
S=(1/2)| x1・y2 - x2・y1 | 
   
と言うのがありますから、それを使えばあっと言う間に計算できます。が、この定理や知識を使わないで解くとなると、かなり時間がかかります。

 他の科目のように、研究する対象(小中学校と同じモノ)をより詳しく、より広く、より深く扱うのではなくて、数学では、解く技術自体がどんどん増えるのです。

 だから数学に関しては、上位の知識を使えば、下位の問題は簡単に解けます。

 図にすると、こういう構図になっているわけです。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 大学の数学の知識 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
↓簡単に解ける
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 高校の数学の問題 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 高校の数学の知識 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
↓簡単に解ける
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 中学の数学の問題 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 こうなると難関大学の入試で数学を得点源にするには、大学で学ぶ数学レベルの知識がないとダメだというのが、わかるでしょう?

そしてそのための勉強が、途方もなく時間を喰うと言うことも。

 だから数学に勉強時間を使いすぎて、英語や理社の勉強時間が足りないと、入試では失敗するのです。

 入試のための勉強の優先順位は、だから一に英語、次に理社国、最後に数学です

※もちろん、数学の勉強を後回しにするというのではなく、やりすぎないと言う意味で。

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 英語、理社国、最後に数学。英語では和文英訳の勉強が、重要
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 さて、受験勉強のプライオリティ(優先順位)は、英語、理社国、最後に数学だ…、と書きました。

 ではその英語で合否を分ける鍵があるとしたら、何でしょう?

 それはもう、和文英訳・自由英作文です。

 英語力のあるなしは、和文英訳・自由英作文でハッキリわかってしまいます。


 英文和訳は、英単語や熟語がわかっていれば、前後の文脈や構文などから意味を取って、なんとか日本語にできますが、和文英訳・自由英作文は、そんなに簡単ではありません。

 減点しようと思ったら、いくらでも減点ポイントはありますし、また英文和訳はまともなのに、和文英訳になると無茶苦茶という人も、山ほどいます。

 たとえば日本語で同じに訳になる英単語でも、実は指し示す意味が違ったりします。

 英語というのは動詞が多彩で、動詞で細かい意味を表す言語ですから、同じ「見る」でも、
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see; look ((at));
《ちらりと見る》glance ((at));
《じっと見る》gaze ((at));
《観察する》observe; watch;
《視察する》inspect;
-----------
というふうに、決まった単語があるわけです。

 だから同じ「見る」でも、その決まった単語と全然違う単語を使ったら、それだけで減点対象です。

 和訳の場合は、上にあげた英単語なら、とりあえず「見る」と訳せば日本語としては意味が通る文になりますから、大幅な減点にはなりません。

 それに対し、英訳の場合は、同じ「見る」でも動詞をちゃんと使い分けねば×(バツ)というわけですから、英文和訳がそこそこできるのに、和文英訳が全くダメ…というのも道理です。

 また、和文英訳が無茶苦茶になる別の原因として、たいていの受験生が「日本語を曖昧(あいまい)に使っている」ということもあります。

 去年も今年も
「私の和文英訳(和文和訳)を添削してください」
という受験生が何人かいて、その答案を見させていただきましたが、たいてい和文の意味自体をとりちがえています。

 ひどいときには、いつの間にか自分の書きたい内容に、スリ替わっていたりして、唖然(あぜん)とします。

 意味の取り違えが起こる原因は、日本語に曖昧な表現が多いせいでもありますが、結局、主語と述語という「核文(かくぶん)」や、筆者の主張や表現しているところをハッキリと捉えていないから、ということでしょう。

 だから逆に、和文英訳がそこそこわかるようになると、英文和訳も小論文も劇的に良くなります。

 和文英訳がまともになるというのは、英語と日本語の表現の違いがわかってきた証拠ですし、言葉の使い方に繊細さや緻密さが加わってくるということですから、日本語で書く文も見事になってきます。

 和文英訳の配点が50点だったら、できる人とできない人では30点以上点差がつくはずですから、和文英訳をしっかりやるというのが、合否の大きな分かれ目になります。

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