2007京大英語・レビュー
今年の京大英語を見て、ビックリしました。
量が多い! とにかく訳す文章が長い。
下線部和訳が、3〜8行。具体的には、3行、5行、7行、4行、5行、8行。
去年の大問1は、文系向けの難しい単語が並んでいましたが、さすがにできが悪かったのでしょう。
今年は単語自体は、東大並みに簡単になりました。
ただ、1つ1つが長い。これを自然な日本語になおすのは、至難の業。
試しに、一番簡単そうな、最初の下線部和訳をやってみましょう。
The understanding depends upon its founding values, with the early experiences of infancy being the most critical for the formation of a social sense in a child, which is why parental concern for morality or the actual values adopted is vital.
(京大2007)
単語のレベルとしては、合格英単語600の派生語くらいのレベルで、説明が必要な難しい単語はありませんよね。
この部分より前の文章の概略も、書いておきます。
「社会というのは、共有された理解の上に築かれている。 それは世代から世代、親から子供に受け継がれることで、維持されている。 世界がどのようなものであるかという説明のみならず、 世界がどうあるべきであるかという深いことまで含んでいる」
自然な日本語に、訳してみてください。
和文英訳も長い
大問3の(2)、和文英訳の問題です。
最近久しぶりに旅行して実感したのですが、田舎の夜空には星が驚くほどたくさん見えます。科学的に考えれば、汚染がなく空気がきれいだからでしょうが、風景はそれを見る者の心を映すとよく言われます。雑事に追われて忙しいだけの生活からしばしの逃避行を敢行したのあのときの私は、もしかしたら、めずらしく無邪気な子供のように心が澄んでいたのかもしれません。
文章としては、何の変哲もない文章ですから、例年より多少簡単かもしれません。
でも、河合塾の評価は「やや難」です。 (和文)→(和文の核文)という変形は、さほど難しくないと思いますが、(英語の核文) → (英文)のところが、かなり難しそうです。
ちょっと、和文の核文変形をやってみましょう。
私は、実感した/最近旅行したとき/星が(より)たくさん見える/(旅行先の)田舎の夜空に/(都会・あるいは住んでいる場所よりも)
(星がたくさん見える理由は)/科学的な視点では/空気がきれい/汚れがない/(からだろう)
(だがしかし、それ以外にも原因・理由があるように思う)
目に見えるモノは/それを見るときの心理状態に影響される(依存する)/と、よく言われる/
私はそのとき、無理矢理逃れていた/普段の忙しいだけの生活から/そのおかげで、子供のような無邪気な心理状態になっていた。
そのような状態だったから/星が(都会に住んでいるときより)よりたくさん見えた/のかもしれない。
ざっと、こんなかんじでしょうか。( )の中は、和文で省略されているだろう部分です。
(だがしかし、それ以外にも原因があるように思う)の一文は、苦肉の策ですね。
ここで何か接続詞を入れるだけで文章をつなげようとすると、後半の文章の順序を大幅に入れ替えなければならなくなるので、さすがにそれはまずいです。
言い換えは、いろいろ考えられます。
実感した → 深く感じた
逃避行 → 無理矢理逃れた
風景 → What we can see(私たちの目に見えるもの)
科学的に考えれば → from point of scientic view,
忙しいだけの生活 → うーん、忙しいこと以外は何もない生活かな?
無邪気な心 → うーん、邪気のないこころ → pure mind ?
後半の語句は、やっぱり難しいですね。
この辺は『40日完成・英作文パーフェクト演習』(桐原書店)なんかで、表現の幅を広げておかないと、難しいでしょう。
ちなみに(1)はこれより長いんですが、京大英語では文章の構成力や表現力がものすごく大事です。
英文や和文を、基本的な核文に分解・変形して、それを再構成する練習が不可欠でしょう。
総括
京大の英語は、本文も短めになり、単語的にも簡単になったようですが、基本的な文章構成力に関しては、難易度は高いです。
英文和訳に関しては、自然な日本語で、完答をめざしてください。
和文英訳に関しては、英文の骨格をしっかり作って、6割程度の点数を狙うべきでしょうね。
来春、京大を受験するつもりのヒトは、文章に何が書かれているのか、骨格をつかむ練習を、目一杯やりましょう。