水平的な範囲と構造

水平的な範囲と構造

水平的な範囲と構造

 韓国のラッキー・ゴールドスター社は、自社で生産する化粧用ク
リームの容器の「キャップ」を自社で作り出したところから、様々
な方面に事業を展開していった。

 

 これはLG社が自社の製品のための部品を調達しようとしても、
それを請け負う企業が韓国国内に無かったからで、自社でそのよう
な特殊的な投資を行うしかなかったからである。

 

 だがキャップだけでその投資を回収することはできないから、同
社はキャップ以外の用途を求めて、自社の製品のラインナップを広
げてきた。

 

 クリームとキャップの関係からこれらの行動は「垂直的統合」で
あると考えることができる。

 

 がしかし規模の経済性を出すために様々用途を「新たに」開発し
たという点では「水平方向への発展(範囲の経済性)」である。

 

 企業戦略として会社がどのような事業に参入すべきかという問題
は、重要な問題であり、言ってみれば「自企業の水平的な境界」を
決めるということでもある。

 

 事業部拡大の方向とその影響について考える。

 

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●事業部拡大の方向
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 これまで見てきた企業の拡張の方向は、規模と範囲の経済性、コ
ア・コンピテンスと言う要因によって決定されることが多かった。

 

 特にLG社の場合は非常に補完的な(1+1が3になるような)規
模と範囲の経済性を追求した結果である。

 

 この種の経済性が無い場合、企業は関連事業であっても進出をた
めらう事が多い。

 

 つまり現在手持ちの技術やスキルと言ったコア・コンピテンスを
応用できるだろうと言う目算が立って初めて、新しい分野に進出す
る踏ん切りが付くのである。

 

 もちろんベータ・マックス・ビデオでVHSに破れたソニーが、
その後その敗因をソフトに求め、コロンビア映画やCBSレコード
を買収して事業を拡張したように、現在の手持ちの技術を生かすた
めの手段として、その価値を高める事業に進出するという事もある。

 

 一般的に言って、企業の拡張が成功する公算が大きいのは、自社
の持つコンピテンスが何であるかをハッキリと知り、それを上手く
利用できる方向に進出する場合である。

 

 だがこれらの水平統合も、事業部の数が多くなりすぎるとうまく
行かなくなる。

 

 中央で全事業部をコントロールするには、中央にそれぞれの部門
の成績評価を行うための専門の役職を作らねばならない。

 

 かといって各事業部に経営権を分権すると、三頭のキングギドラ
か八又の大蛇のようになってしまい、それぞれの利害の衝突を回避
するためにあくせくしなければならなくなる。

 

 近年の「事業のフォーカス化」や「分社化」は、そういうインフ
ルエンス活動やコーディネーションが無駄なコストを生み出してい
ると企業が認識したからであろう。

 

 そして水平拡張時に起こる企業文化の衝突問題も、前述したとお
り、大きなコストのかかる問題である。

 

 倒産した企業を吸収合併する場合は敗者が勝者の文化に習うだけ
だが、対等合併した企業で企業文化を融合させることは難しい。

 

 合併後何十年立っても「元○○系」「元××系」といった分類は
引き続いて残り、不毛なインフルエンス合戦が繰り広げられること
となる。

 

 ソニーと時期を同じくアメリカの映画会社を買収した松下電器は
結局それを手放す羽目になったが、水平拡張した企業には常にそう
いう問題がつきまとう。

 

 

NEXT:企業提携の四つの目的

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