公共・民間セクターでのレント・シーキング

公共・民間セクターでのレント・シーキング

レント・シーキング

 ある財やサービスの実際に売れる価格がpの時、それを作って売り出す場合のレントは工場のラインから製造工程の構築から、そういった最初の投資が必要で固定費用が大きくなる。

 

 ところがすでにそういう初期投資を終えてしまった後でのレント(すなわち準レント)は、固定費用の何割かはもうすでに償却され、残りもサンク・コスト(すなわち生産を続けようが生産を止めようが支払わねばならないコスト)になっているので、それについてはもう考えなくても良い。

 

 だからレントは(p−p^)×q、準レントは(p−p^^)×qとなる。

 

 だから、(レント)<(準レント)となるわけだけど、上図はq個生産する場合の参入コストと、もうすでに参入している場合にこれからq個生産する場合のコストを表していて、低い方がレントは大きくなるという意味で描いてみたんですが、、、、これではサンク・コストを考えなくても良い場合の準レントとはちょっと違いますね。

 

公共・民間セクターでのレント・シーキング

 

 レントや準レントは、従業員や企業が実際にかかっているコストより「余分に多く」収入を得ている価値分である。

 

 そしてそれは他人から見れば「余分に儲けている」と見える。

 

 だから、そのレントの「再分配」を目指すインセンティブがそこに生じる。

 

 たとえばオリックス時代のイチローが年棒五億円もらっていても、他のプロ野球選手の目から四億円分しか稼いでいないように見えたなら、残りの一億円は「余分に給料をもらっている(=レント)」ということになる。

 

 だから、それを自分たちの所に回せと言う議論が起こったり実際そういう行動を起こしたりと言うことが起こり始める。

 

 特に政府などの行政機関による独占権認可、公共料金決定、関税その他の貿易障壁設立などは、組織や企業にとって大きなレントや準レント発生の可能性を作り出すから、問題である。

 

 つまりこういう公的な機関や制度の下では、たいていコストp^やp^^よりはるかに高い価格で価格pを設定できる。

 

 たとえば当局や企業は「マークアップ原理(コスト+適正利潤=価格)」と言いながら自組織に都合のいい販売価格や料金水準を決めることができる。

 

 だから、レントや準レントは非常に大きくなり、とても「魅力的」になる。


許認可を得るための、インフルエンス・コスト

 公共事業や公営事業で、許認可に大きな影響を受ける企業は、このレントを獲得したり、許認可を維持して準レントの流出防止に大きな努力をすることになる。

 

 もちろんその方法は、合法的な政治活動や規制決定過程への関与(ロビイング)という場合もあるし、また贈賄という形の行為であることもある。

 

 がその結果、決定が歪曲される。

 

 たとえば公定価格が市場価格よりはるかに高く設定されたり、独占による利益が認められたりするが、そうすると社会的には大きな損失が生じ、大きな非効率が生じてしまう。

 

 こういった、レントや準レントの移転(つまり誰がレントや準レントを手にするかの変更)以外に社会的な機能を持たないような活動を特に「レント・シーキング」と呼び、それが公共セクターにおいて生じるとき、それを「DUP(直接的・非生産的利潤シーキング)」と呼ぶ。

 

インフルエンス・コスト

 

 このようなレント・シーキングによって浪費された資源と歪曲された決定とに伴う費用を特に「インフルエンス・コスト」と言う。

 

 一部の研究者によれば、インフルエンス・コストこそ政府の肥大化に伴う最大のコストであるという。

 

 何かの決定が国会や議会で決まるとき、その予想される結果が再分配に大きな影響を及ぼすとき、頭のさとい連中はその決定に影響を及ぼし自らの業界に有利な採決が行われるように行動する。

 

 それこそが「一番実りの多い方法」であり、「一番見返りの大きな仕事」であると察知し、そのために多大な資源(たくさんのお金や優秀な人材)を振り向けることになる。

 

 その結果、効率性は無視され適材適所に資源が割り当てられなくなってしまうということになる。

 

 だから、実は二重にムダを重ねることになる。

 

 さらにこのインフルエンス・コストは、行政機関が大きくなればなるほど増大する。

 

 なぜなら組織が巨大化すると処理しなければならない案件が増え、意志決定に関わる人数も増えるからである。

 

 中央に権限が集中していると、地方の中位の道路を造るためにわざわざ東京まで何度も出向かなければならないなんてムダが生じるが、そう言う具合にインフルエンス・コストが乗数的に増大していくわけである。

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