インセンティブ契約と不確実性

インセンティブ契約と不確実性

不確実性の発生

 従業員に働くインセンティブを与えるために、業績と報酬をリンクさせる「インセンティブ契約」を結ぶことがある。

 

 しかしインセンティブ契約を結ぶには、不確実性の問題をまずどうにかしなければならない。

 

 不確実性の問題とは、本人が同じ努力をしているにもかかわらず、周囲の状況によって業績が良くなったり悪くなったりするケースの対処問題である。

 

 たとえばコンビニの近くに別のコンビニができた。

 

 それによってそのコンビニの業績が落ちた。

 

 だがしかし、それは誰のせいで落ちたのかはハッキリしないことが多い。

 

 店長の販促努力が足りなかったのか、それともフランチャイズ本部の企画が悪かったのか。

 

 それとも従業員の接客態度が問題だったのか、、、とにかく誰のせいだかはっきりしない。

 

 そういう誰のせいだかハッキリしないような業績の上がり下がりで自分の給料が上がり下がりすると、たいていの従業員はもっと安定した収入を得られるような職場に転職してしまう。

 

 そしてそのコンビニはリスク負担を受け入れるような従業員を雇うために、もっと高い給料率の給与契約を用意しなければならなくなる。


固定給かインセンティブ給か

 もちろん不確実性の問題はそれだけではない。

 

 たとえば業績の良し悪しを判断する指標が雇用主の主観に基づくような場合、従業員はリスクを負うことになる。

 

 すなわち自分の働いた労働価値がAという上司による判断では100と見なされるが、Bという上司には70にしか評価されないというのなら、従業員の労働インセンティブは著しく失われるだろう。

 

 不完全な業績評価は、そうして不確実性を発生させる。

 

 他にも不確実性を発生させる要因には、健康状況や家庭状況、或いは天候や交通問題など、さまざまな要因がある。

 

 だが、これらがつまり、業績と報酬をリンクさせてモラルハザードを防ぎインセンティブ契約を結ぶ障害となっているのである。

 

 だがしかし、そうだからと言って固定給のみの契約で良いかということにはならない。

 

 固定給のみの報酬体系では、親方日の丸・鉄椀主義(中国共産党)の役人のように、仕事はクビにならぬ程度にこなし、内職に励んだほうがはるかに実入りがいいことになってしまう。

 

 だから何とかしてこれらの不確実性を排除し、リスク負担とインセンティブ契約をうまくバランスさせた契約を作り上げねばならない。

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