市場の失敗(2)

市場の失敗(2)

市場の失敗(2)

 以下の問題が生じるとき、厚生経済学の基本定理は成り立たず、
「市場の失敗」が起こる。

 

(1)市場支配力のある経済主体の存在(独占・寡占など)による
  失敗(非効率)
(2)規模にかんする収穫逓増(生産の不連続性)による失敗(非
   効率)
(3)経済外部性(イクスタナリティ)による失敗(非効率)
(4)サーチング・マッチングなどによって生じる分権的市場価格
  による失敗(非効率)

 

 因みに市場の失敗とは、市場による均衡価格が資源の配分を最適
化せず、経済全体の効用を最大化しない場合という事であるが、今
回は後半の3と4についてである。

 

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          市場の失敗(2)

 

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■市場の失敗(3)外部性
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「外部性」とは、ある経済主体の活動が、価格システムを通じない
で他の主体の経済厚生に及ぼす効果のことである。一番わかりやす
いのは公害などであろう。

 

 農家は作物を大量生産するために様々な農薬や肥料をばらまく。

 

 それは河川や土壌や地下水を汚染するが、しかしその修復は行わ
ないからその被害や修復費用はその自治体や周囲の他の住民が支払
うことになる。

 

 汚染に対する費用負担を誰が行うかは市場で決定されないから、
農家の生産行動にこの費用は影響をもたらさない。すなわち経済の
外部にある。だからこれを「外部性(イクスタナリティ)」という。

 

 ただし外部に対して無料で副次的な財やサービスを提供する場合
は「外部経済的」といい、害をなす場合は「外部不経済」と言った
りする。

 

 外部性によって市場が失敗するのは、意志決定者が決定によって
生じる全てのコストと全ての便益(ベネフィット)を勘定に入れな
いからである。

 

 また美しい人や明るい人が街を歩くと、周囲の者が楽しくなる。
 これを「外部経済(的美人)」と言うことがある。そして逆に嫌
悪を催す者が街を歩くと「外部不経済(的不美人)」になる。

 

 美醜は人や物に付属するので、それのみを取り出して市場で売買
することはできない。

 

 そしてその影響もたいてい局地的なものなので、十分な数の市場
参加者も得られない。

 

 だから厚生経済学の基本定理は、成立しないことになる。
 これを特に「市場の欠落」と呼ぶこともある。

 

 外部性はもちろん全てが「欠落」になるとは限らない。

 

 公害のような因果関係がはっきりしている物に対しては、それに
一定の「従量税」を課すことによって均衡状態を作ることができる。

 

 たとえば現在の農村や下流域の汚染修復費用を現在使われている
窒素肥料の量で割り、それを税金として徴収することによって、外
部不経済を経済の内側に持ち込み均衡を得ることなどが可能である。
(PPP:汚染者負担の場合)

 

 

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■市場の失敗(4)分権的市場
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〜サーチング・マッチング・コーディネーションのコストが必要な
場合

 

新古典派モデルでは、誰もがその財の価格を知り、取引される場
所や時間がいつだか知っているという仮定にたっている。

 

 だが現実には自分の売りたい物・買いたい物の売買価格や売って
いる場所を探索(サーチ)し、その情報を集めなければならない。

 

 もちろん売りたい人と買いたい人がいつでも同数だけ存在して一
対一で対応するわけでもないから、そのマッチングも難しい。

 

 そういうわけで人々は必ずしも最安値でものを買うわけでもなく、
最高値で物を売るわけでもない。

 

 だから人は取引相手を捜すコスト(サーチング・コスト)や条件
をすりあわせるコスト(マッチング・コスト)と財の価格とを足し
合わせ、適当なところで妥協を図って取引を行うわけである。

 

 となると市場は「分権的」になる。

 

 あっちの市場とこっちの市場では、同じ財でも取引価格が異なる
という非効率が起こる。

 

 また新古典派モデルでは、十分な売り物と十分な買い物ができる
と仮定しているから、欲しい人はいくらでも同じ値段で物を買った
り売ったりすることができることになるが、実際にはそうではない。

 

 物が売れなければ買わないし買わなければ作って売らない。
 だから非効率な低水準の生産や消費しか行われなくなる。

 

 そうして「市場の失敗」が起こる。

 

 

(つづく)

 

 

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           今日のおたより

 

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みちもとさん、こんにちは。Yと申します。

 

組織の経済学の読者で、マレニヨムの読者でもあります。
このメルマガで勉強させてもらっています。

 

マンキューは2月から始まっていたのですね。
全然気がつきませんでした。確かマレニヨムでは、卒論に忙しくて
マンキューを始める時間がとれないような印象でしたし、卒論の発
表時間が少ないとか、結論が飛躍しているとの指摘を受けたとか、
そんな話で途切れていたような印象です。

 

こうした状況を考えると、マンキューのメルマガ登録者が少ないの
は当然で、ほとんど宣伝していないに等しいと思います。本当にメ
ルマガの読者を増やそうとするなら、組織の経済学の読者に「マン
キューが始まります。登録してはいかかですか。」とパーミッショ
ンを求めてみてはどうでしょうか。
マンキューでも、みちもと節を期待しています。

 

ところで、なんだかんだ研究室の画面でみちもとさんのおとなりに
写っている方(初老にみえる)はどなたでしょうか。少し気になり
ます。

 

それでは、また。

 

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(^_^;)
 どうもメールありがとうございました。

 

 マンキューのメルマガの方は一応2/11の第11号の冒頭で告知はし
てあったんですが、どういうわけだか読者数が少なくて、とても不
思議に思っています。

 

 というのも他の経済関係のメルマガは大抵二三千人以上の読者の
方を抱えてらっしゃるし、マクロ経済に興味のある人は多いだろう
と思っていたので、二百名しか参加してもらえないとは思ってなか
った。

 

 もちろんボクのメルマガは自分の勉強のためにやってるようなも
のだから、別に読者数の多寡はもんだいじゃないんですが、でもち
ょっと拍子抜け。

 

 まだ始まったばかりですので、マクロ経済学に興味のある方はぜ
ひこの機会に登録して参加して下さい。結構おもしろそうです。
バックナンバーは私のHPにありますのでちょっと読んでみてみて
ください。

 

 まあでもマンキュー教授の本は読みやすいから、別にわざわざメ
ルマガで勉強しなくても良いものなのかもしれませんが。

 

 因みに今HPのトップに据えている画像は、私と私の父親です。
 お便り有り難うございました!

 

NEXT:組織内部での価格システムの利用

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