ワン・ファンド・ポートフォリオ

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モジリアーニ=ミラーの定理(復習)

 

●第1モジリアーニ=ミラーの定理 企業を通じて分配される総収益Xが、ファイナンスに関する決定には影響を受けず、かつ、投資家は企業の株式を担保に企業と同じ条件で借入を行えるものと仮定した場合、企業の資金調達構成は企業価値に影響を及ぼさない。

 

●第2モジリアーニ=ミラーの定理 企業を通じて分配される総収益Xが、ファイナンスに関する決定には影響を受けず、かつ、投資家は企業と同じ条件で証券の売買ができるものと仮定した場合、企業の配当政策は企業価値に影響を及ぼさない。

 

 MM定理は、ファイナンスや配当政策を考える上での貴重な出発点となる。

 

 MM定理の要点は、完全資本市場下においては収益の分配法(すなわち負債とエクイティの比率)を変更しても、基本的には企業価値を変えないということである。

 

 

ワン・ファンド・ポートフォリオ

 

 個々の投資家には、様々な投資機会があり投資選択がある。

 

 何も投資は株式投資だけには限らない、不動産もあれば、美術品もある。

 

 だがきわめて安全な投資は、より危険を伴う投資よりも遙かに低い収益しか上げられない一方で、得体の知れない小企業への投資がとんでもない利益を生んだりもする。

 

 投資家はだから、様々な投資を組み合わせて確実な収益と危険分散を図るポートフォリオを作ろうとする。
 ここで前提条件を以下のように決定する。

 

1)投資家はリスクを嫌う一方で、ハイリターンを望む。

 

2)収益率(利子率)rの安全なリスクのない債券も存在する。

 

3)資本市場は完全資本市場である。

 

 つまり投資家は希望するだけの株式を収得でき、その株式売買 は市場に影響を及ぼさない。

 

株式売買コストも無視できるほど小さい。

 

※ただしリスクは投資収益の分散や標準偏差によって測られるとする。


ワン・ファンド・ポートフォリオ定理

 まず投資家にはJ個の投資対象があるとする。

 

 投資対象jのもたらす利益率をRjとし、これは不確実であるとする。

 

 J個の投資対象に投資するポートフォリオはベクトル表記で(α1、α2、………、αJ)と定義されうるが、ここで全資産を1とすると α1+α2+………+αJ = 1 (=Σαj)ということになり、αは全資産に対する比率となる。

 

 もちろんある投資対象jに対して、空売り(将来それを購入して売りわたすという約束での投資)をすることもでき、その場合はαがマイナスになる。

 

 投資家が投資対象jから得られる収益はαj×Rjだから、このポートフォリオによって投資家が得られる収益は α1・R1+α2・R2+………+αJ・RJ = ΣαjRjとなる(もちろんこれに投資家が投資する金額をかけたモノが予想収益になる)。
 投資家はもちろん安全な債券(利子率r)にも投資できる。

 

 そうするとつまり、投資できる持ち分の1−βを安全な債券に投資し、残りのβを上のポートフォリオに投資することが可能である。

 

 これはもちろん新しいポートフォリオを作ったということであるが、これを数理的に解析していくと、もっとも高い収益をもたらすただ一つのポートフォリオが存在するということが分かる。

 

 これを「ワン・ファンド・ポートフォリオ定理」と呼ぶ。

 

 つまり投資対象の利益率とその確率さえ分かれば、最適なポートフォリオを計算で決めることができる、、、ということである。

 

 でポートフォリオがたった一つだけに決まるものだととすると、今度は逆に企業の株式の価格を計算で決定できることになる。

 

 つまり予想される平均収益率Rによって、企業の資産価格が決定できるわけである。

 

この計算式を「価格決定式」という。

 

 もちろんこれは理論上の計算であって、様々な前提条件の上に成り立つものである。

 

 だから、現実には一つの「目安」となるに過ぎない。

 

 金融・資本市場は市場に参加する様々な投資家の様々な思惑によって成り立っている。

 

 だから、これは理論であり、一つの目安である。

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