復習

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事業部制企業の発展と移転価格(内部取引価格)

多くの大組織は、その内部でコーディネーションや動機付けのための手段として、価格システムを広く利用している。

 

 これらの組織では、関連情報を多く持つ実際に事業活動を行っている部門に意志決定の責任を委ねることで、重要な意志決定を行う者が適切なインセンティブを持ち、互いに整合的で首尾一貫した計画が実現することを保証することがきわめて重要になる。

 

 上級管理職は、財務管理や業績評価によって、或いは組織内部の移転価格の導入によって、組織内部に部分的な市場機能を作り出してきたのである。

 

 初期の近代企業は、「職能別」に集権的な形で組織された。

 

 つまり、財務部・生産部・人事部・購買部・企画部・販売部、、といった風に部を分け、それを本社が監督し指令した。

 

 ところが広い地域にわたって大規模な事業活動を行う、多様な製品を生産する企業のコーディネーションには、不適切であることがわかった。

 

 それは

  • (1)本社で意志決定を行う者は、生産や市場の状態などの重要な局所的情報から遠すぎる。
  • (2)本社と支社間の連絡のために膨大な時間と情報が失われ、決定者は直面する意志決定数・範囲・複雑さのために忙殺される事になった。
  • (3)企業が大きくなればなるほど、これらの問題が経営の有効性を妨げることがわかった

からである。

 

一方全くその逆で、独立した多数の企業を株式保有を通じて分権的に管理する「持ち株会社」の場合は、傘下の企業間のコーディネーションを必要としない場合にはそこそこの業績を納めることができたが、コーディネーションのメリットが見込める場合にはうまく機能しなかった。

 

 その結果、第一次世界大戦後の大企業は「事業部制」を組織に取り入れ事業部制組織(マルチ・ディビジョナル・オーガニゼーション)を目指すこととなった。

 

 事業部制組織では「広範な意志決定権限を持つ事業部」と「各事業部をコーディネートするための比較的強力な本部」が併存する。

 

 さて事業部と事業部長の業績は、財務データによって測られる。

 

 費用・収入・利潤・投資の成果などが計算され、これらの数値が業績判断と報償の配分に使われる。

 

 これらの数値はまた、企業資金をどこに配分すべきかどの製品を開発したり投資を減らしたりするか、或いはどの幹部を昇進させるかなどを決定するために用いられる。

 

 分権化した組織では、自事業部から他事業部に製品やサービスが供給される。

 

 各事業部ごとに小規模な責任センター(すなわち個々の工場、事務所、或いはもっと小規模の部署などを一つの単位とする責任単位)が設けられ、その間で絶えず財やサービスが移動する。

 

 したがって財務的な業績尺度を用いるには、これらの財やサービスを価格付けすることが必要になってくる。

 

これを「移転価格(トランスファー・プライス)」と呼ぶ。


移転価格設定の重要性

 移転価格は企業や事業部の責任者にとって決定的な重要性を持っている。

 

 だが移転価格の決定は重要な問題を抱えている。

 

 というのもある部門から他の部門への移転価格が市場価格よりも高いと川下の部門のコストが増大するし、低いと川下に財を流すより市場に売ったほうが得になってしまう。

 

 移転価格が適正でないと、実際とはかけ離れた結果、つまりある事業部が実際にはさほど儲かっていないのに儲かっているように見えたり或いは逆のように見えたりする。

 

 そして企業内部の取引によって各部門の利潤が最大化される場合、企業全体の利潤を損なうことも多い。

 

というのもこの場合、たいてい最終産出品の価格は市場競争力を失ってしまうのである。

 

 適正な移転価格が簡単に決まるのは、外部に同様な市場があってそれを参考にできるときのみである。

 

 要するにこの話では、 企業などの組織の規模が大きくなると現場と中枢との「情報距離」が遠くなるために、全体の判断速度や精度、或いは効率などが悪くなる。

 

→それを防ぐために企業は分社化したり事業部制組織にしたりして、経営判断などの権限を部門長に与え、現場に近いところ(つまり情報が揃っている場所)で経営を行わせる。

 

→そうすると今度は各部門の業績をどうやって本社が判断するかが問題になってくる。

 

→結局それは各部門を一つの企業組織として見て、各部門ごとに利潤が上がっているかどうかを判断するしかない。

 

 だ。

 

 しかし、そこで問題になるのが「社内で行われる財やサービスの取引価格(つまり移転価格)」である。

 

→移転価格が適正でないと、本当に利潤の上がっている部門がどこだかわからなくなり、価格操作のうまい部門ばかりが業績をあげることになる。

 

本当に利潤のあがっている部門を縮小し、そうでない部門を拡大すれば企業全体として大きな失敗をすることになる。

 

→だから適正な移転価格を設定しないとマズイのだ。

 

 しかし、実際には外部に同様な財やサービスの市場が成立していない場合、それはなかなかうまく決まらない。

 

困ったモンだ。

 

(つづく)

 

今日のまとめ

 

・・・参考にできる市場がない場合、或いは多数による競争が行われていない場合、価格は「政治的」に決まる。

 

 だがしかし政治的に決まった価格は効率性を台無しにして効率的な資源配分を破壊する。

 

 だから、全体としてとんでもない非効率を生む。

 

 そう言うわけでこういう「政治的」なことばかりやっていると、組織や企業は衰退する。

 

 そう言う話はこの本の中にも、あちこちに登場します。

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