合併・統廃合とインフルエンス活動

合併・統廃合とインフルエンス活動

インフルエンス・コストと合併

 なぜ組織が合併すると1+1=2以上にならないのであろうか。

 

 なぜ全ての生産を一つの企業で賄うようなことができないのであろうか

 

 理屈から言えば各部門を独立させた状態で運営し、要所要所で中央政府や本社が適切な指示を出し「選択的介入」を行うことで、少なくとも1+1=2の業績が上がるはずである。

 

しかし現実にはそんなにお気楽には運ばない。

 

たいていは2未満になってしまう。

 

 一体なぜなのか。

 

 企業を統合すると、そこに既存利益を守ろうとしたり、経営執行責任者などの決定権限を持つ者に対して、自らの部門により大きな予算を配分させようという「インフルエンス活動」が生じ、そのため膨大な「インフルエンス・コスト」が生じるのだ、、、、というのがその一つの答えである。

介入に対するインフルエンス

 

「選択的介入政策」、、、つまり普段は各部門に独自行動を許しておいて、必要に応じて必要な指示や介入を行うというやり方の基本的な難点は、「決定を下すための情報収集をして適切な介入をする有能な意志決定者が必要となること」である。

 

 言ってみれば各部門や各組織の外にいて、その部門の内部の情報や行動を監視し、必要であれば即座に介入を行うという人員を配置しなければこのような政策は不可能である。

 

 かつて共産主義国があらゆる経済主体を国有化し、それを監視するために全ての経済主体に共産党書記などを貼り付けたのは、共産党の無謬性(決して過ちを犯さないと言うことに決めること)を前提として「有能な(?)」共産党員に「選択的介入」をさせるためであった。

 

 しかしもちろんそれはタダではない。

 

 人件費もかかるし、情報収集のためのコストもかかる。

 

 以前にも論じたとおり、下位の意志決定者から情報を集めるのにも時間がかかる。

 

 だがしかしそれよりもっと重要なのは、各部門や各組織内部で介入に対する激しい抵抗活動が生じることである。


とんでもないインフルエンス・コスト

 インフルエンス活動のために、企業や組織は様々な浪費をすることになる。

 

 各部門には上層部の介入に対し、たとえそれが全体として適切な介入であっても、自らや自らの部門の利益に合わないような介入は「不当なモノである」として撤回させようとする。

 

 全体にとって良くなくとも自らにとって有利な介入を行わせようという運動(すなわちインフルエンス活動)がそこに発生するのである。

 

 時代や状況に適応するために配置転換を行うにも、経営者は労働者に何週間も何ヶ月もかけて説得を行わなければならない。

 

 また撤退ともなると、事業部長や部長などと言った経営幹部とも対決せねばならない。

 

 企業統合や合併ともなると、最低でも総務部や経理部門などの間接部門は重複しそのどちらかは不用になるわけだから、どちらを残すか誰を残すかということが大問題になる。

 

 そしてその際生じたインフルエンス活動によって、もし判断を誤った不適切な介入を受け入れてしまうと、さらに大きな損失を生むことになる。

 

 何せ不適切な介入というのは、ただでさえ経営資源のロスを減らすのに逆行しているというのに、さらにロスを増大させてしまうのだから、とんでもないインフルエンス・コストが生じてしまうのである。

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