フィッシャーの分離定理

フィッシャーの分離定理

フィッシャーの分離定理

 古典的な金融経済学の特徴は、
「経営者と投資家の間には利害対立がない」
「企業によるファイナンスの決定は、経営者と投資家との対立とは
無関係である」
という仮定の下にある事である。

 

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■フィッシャーの分離定理
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 ある店舗のオーナーが、近郊で支店の開店を考えているとする。

 

 オーナーはテナントビルを借り、スタッフを雇い、商品を仕入れ、
地元の消費者に向かって開店を知らせる広告を打つ。

 

 これらの投資によって期待する収益は、今後10年間に渡る売り
上げから得られる利潤からもたらされるモノとする。

 

 一年目の利潤をP1、二年目の利潤をP2、N年目の利潤をPnとする。

 

 

(1)自己資金による投資:
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 さて、もしここで金融機関や株式市場からこのオーナーが資金を
調達できないような状況を考えると、オーナーは自己資金を取り崩
して店を開くことになる。

 

 たとえば家を新築するために貯めていた費用1000万円を、支店の
開店資金に使うことにし、家の新築は先に延ばすというような決定
をして新しい店を開くと言うことになる。

 

 だがそうなると、この投資は「家の新築」と「支店の開店」とい
う二つの選択肢(1000万円の使い道)の選択と言う形になるから、
この投資が行われるかどうかはオーナーの選好(preference)によ
る事となる。

 

 つまり
 「個人が100%個人資金によって投資資金を調達する場合には、
  投資決定は消費計画に対する個人の選好に依存する」。

 

 もっと簡単に言うと、こういう投資が行われるのは投資をするオ
ーナー自身の「好き嫌い」によって決定されるという事である。

 

 だがもしここで「借り入れ」によって投資をファイナンスする場
合には、事情が異なってくる。

 

 

(2)借入金による投資資金の調達:
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 次にオーナーは年利rの金利で開店資金を借りることができると
想定する。

 

 この時オーナーはローン契約の規定によって、その借入金が完済
されるまでは店舗がもたらすキャッシュ・フロー(販売収入から操
業費用を差し引いた金額)の全額を、元利返済に優先的に充てなけ
ればならないものとする。

 

 そして10年が過ぎてもローンが完済されなかった場合は、返金
残高がどのくらいあろうとオーナーは個人資金によってそれを返済
する責任を負わねばならないものとする。

 

 この場合にこの投資決定は

 

・ローンを返済したあとオーナーの手元にいくらかの金が残ると予
想されたらオーナーは投資を行うだろう。
(オーナーの最低の手取り分(機会費用)も勘案して、さらに利益
が残るならば投資は行われるだろう)

 

・ローンを返済したときにオーナーの自己資金を減らす可能性が高
かったら、オーナーはこの投資をためらうだろう。

 

と言うことになる。

 

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■投資決定の動機は「儲かるかどうか」
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 さて(1)の場合は、オーナーが自己資金を何に使うかという
「選好(好き嫌い)」によって、投資が行われたり消費が行われた
りするという事で、そこにまず「トレード・オフ」が生じている。

 

 トレード・オフとはつまり、どちらか一方しか選択できないとか、
一方を増やせばもう一方を減らさねばならない、、という状態だが、
そう言う状態になる。

 

 そしてこの投資は自己資金のあるなしによってまず制限を受け、
そしてさらに自己資金の使い道に投資を選ぶか消費を選ぶかという
「選好」によって影響を受ける。

 

 だがしかし(2)の場合には、そういう制限はない。

 

 もちろんローン契約を結ぶ時点で自己資金のあるなしによる借入
制約や条件面での制限は受けるだろうが、しかしオーナーの好き嫌
い(選好)によって投資が決定されるわけではない。

 

 支店開店というプロジェクトの予想収益と金利rという数値によ
って投資が決定され、オーナーが家を新築しようがヨットを買おう
が"関係なく"、別個の問題として投資決定が行われる。

 

 要するにこの場合は客観的な「ビジネス」として、投資決定の判
断が下されるわけで、この場合の投資決定の動機は
「この投資をして儲かるかどうか」
というだけになる。

 

 もちろん現実的には「自己資金+借入金」の形で投資が行われる
事が多い。

 

 好きで儲かるなら◎、好きなら○、儲かるなら○、好きでも儲か
らないなら×、、、、

 

NEXT:続・フィッシャーの分離定理

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