組織とコーディネーション

組織とコーディネーション

組織とコーディネーション

組織の構成

 

 組織とは、人の集まりである。

 

 人の集まりと言っても、ただの人の集まりではない。

 

 ある特定の目的や欲望を持った組織幹部と、組織に所属することによって何らかの利益(プロフィット:金銭的利益)や便益(べんえき=ベネフィット:金銭だけでない広い意味での利益)を得ようとする人間で構成された集まりである。

 

 たとえば企業幹部や経営者は株主から出資金を募り、その資本で資本財を買ったり従業員を雇ったりして事業を行うが、この時社長や経営者は従業員や部下が真面目に働いて組織を繁栄させることを望む。

 

 一方従業員や部下はその企業で働くことによって金銭を得、そして組織に帰属することによる安心や安全といった便益をも受け取るのである。

 

 これは営利事業ではない宗教組織や政党組織、そして暴力団といったような組織でも同じである 組織幹部は構成員が組織のために働くことを要望し、一方下部構成員は組織への上納金や奉仕などと言った便益と引き替えに集団帰属意識による安定や、その組織の社会的評判に便乗したり組織内の地位による役得などといった便益を受け取る。

 

 組織というものはそうやって「経営者・幹部」と「従業員・下部組織員」から成り立ち、それぞれがおのおのの利害を考えながら組織に属して行動しているというわけである。

 


動機付けとコーディネーション

 だが組織がこうした「幹部」と「下部組織員」によって構成されるという事は、組織が常に大きな問題を抱えていると言うことである。

 

 つまり互助的な弁護士会とか会計士事務所のような場合を除いては、組織の利害と組織員の利害は必ずしも一致しない。

 

 たとえば有名企業の末端のとある従業員は、組織に属しているだけで良いのかもしれない。

 

 コネなどを使ってその組織から追い出されないように努力し、クビにならないようにさえしていれば人並みに報酬が得られる。

 

 また同僚でなければ彼が怠け者であったり会社の備品を盗んだりするヤツであるとはわからないから、その組織に属していることで社会や世間からも一定の尊敬や地位が認められる。

 

 だから彼は可能な限り自分の受け取る便益を大きくし、そのツケは他人に回そうとするわけであるが、もちろんそれは組織全体にとってはマイナスでしかない。

 

 なぜなら彼のそういう行動は、他の組織員の志気を低め効率を下げる。

 

 努力してもしなくても報酬が同じであれば、人は努力しない方にシフト(移動)するものだし、怠け者がチーム内にいればその者が怠けた分だけ他の者が余分に働くことにならざるをえないから、どうしてもそうなってしまう。

 

 こういうことが組織内に蔓延し出すと、組織全体の志気や組織全体の効率性や利益が失なわれる。

 

 だから経営者や組織幹部はそのようなことが起こらないように、組織内の各個人や各部門に対して適切な指示を出し、彼らの働きをできる限り正確に測定して業績を適切に評価しようとする。

 

 組織がどの方向に進もうとしているのかを常にハッキリ示し、それぞれの部門や組織員に対して「動機付け」を行った上で、それに対する貢献をしっかり評価しようとする。

 

 そしてそのためにまず必要なのが組織の目的の明確化と、そのためのコーディネーションである。

 

 何と何を組み合わせ、どの部門とどの部門を重要視するか。

 

 誰と誰に権限を与え、彼らにどのようなインセンティブと責任を与えるか。

 

 資金や人材の配置はどうするか。

 

市場からは何を調達し、自前では何を自製するか。

 

 こういった様々な選択問題や調整がつまり「コーディネーション」であり、これこそが組織の業績を決定するのである。

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