続・フィッシャーの分離定理

続・フィッシャーの分離定理

続・フィッシャーの分離定理

前回のあらすじ
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 ある人が商売を始めようとする。
 お金を投資して、店でも開こうとする。
 このオーナーが借入をせず、自分の手持ちの資金を投資に回さね
ばならないなら、この投資がなされるかなされないかはオーナーの
「好き嫌い(選好)」によって決定される。

 

 しかしもしこのオーナーが銀行や市場から資金を調達できるとし
たら、好き嫌いではなく「儲かるか儲からないか」ということによ
って、この投資の是非が決定される。
 自分の手持ちの資金は使わなくてもよいから、資金を調達して儲
けが出せそうかどうか、という判断によって決定される。

 

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■完全資本市場が存在する場合の投資
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 さて、オーナーにとって借入金利と貸し出し金利が同一水準にあ
ると仮定しよう。
 つまり金を借りる場合の金利がrなら、金を貸す場合の金利もr
であるという状況であり、この状態を特に「完全資本市場(パーフ
ェクト・キャピタル・マーケット)」と呼ぶ。

 

 完全資本市場というのは、誰もが同じ条件で金を借りることがで
き、そして誰もが同じ条件で金を貸すことができる、という市場で、
言ってみれば不特定多数の貸し手と借り手が市場に存在し、どの貸
し手もどの借り手も市場には影響を及ぼさない、、、ということで
ある(たぶん(笑))。

 

 で完全資本市場においては貸出金利も借り入れ金利も同一だから、
オーナーが1000万円を貯金して貸し出して得られる利益は1000r万
円で、一方1000万円借り入れて支払わねばならない利息も1000r万
円となるから、「機会費用(他の用途に振り向けた場合の利益)」
と「資金の借り入れコスト」は同じになる。

 

 つまりオーナーが自己資金1000万円を投じて支店を開店した場合、
支店を開店せず貯金によって受け取れるはずの利息1000r万円を失
う事になるが、1000万円を借り入れて支店を開店した場合に支払わ
ねばならない金も1000r万円になるから、結局どういう組み合わせ
で開店資金を調達しても、失うお金(支払うお金)は1000r万円に
なる、、、と言うことである。

 

 そうすると実際に自己資金をいくら投入するとしても、それを全
て借入金によってファイナンスされたモノとして計算してもよいこ
とになるから、ここにフィッシャーの分離定理が成立する。

 

 すなわち
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 「資本市場が完全であるならば、オーナーによる投資決定は、
 投資からの予想収益と利子率のみに依存し、個人消費とその
 タイミング(時点)に関するオーナーの選好には依存しない。」
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と言うことになる。これを「フィッシャーの分離定理」と呼ぶ。

 

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■フィッシャーの分離定理の利点
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 フィッシャーの分離定理の利点は、
「投資決定が個々の投資者の事情に依存しない」
という事である。

 

 つまり二つの企業で合弁会社を作るような場合、その決定はそれ
ぞれの企業の事情にはあまり関係がない。

 

 すなわちその合弁事業が上手くいくかどうかが、その合弁事業を
始めるかどうかと言う決定に影響するだけで、片方の会社が他の部
門で傾きかけていても関係がない。なぜなら合弁会社の資本は自己
資金ではなく借入金で賄えるという前提なのだから。

 

 そしてまたこの考えは、大企業を所有者(株主)と別個の存在と
して考えるという根拠の一つとなりうる。

 

 つまり大企業がどのようなプロジェクトを行おうと、それが借入
金で行われるのであれば、株主の資産には関係があまりない事にな
る。

 

 もちろんこれは「完全資本市場」という想定のもとでの結論であ
るから、現実にそのまま応用することはできないであろうが。

 

 

(つづく)
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           おしらせ

 

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「みちもとの経済学ノート〜エクスペリエンス・エコノミーを読む」
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 いろいろな経済学関係の本を読もうと思いますが、まずは第四の
経済価値『経験(エクスペリエンス)』についての本です。
テキストは2001年日経ビジネスのベスト50のうちの一冊、パイ
ン&ギルモア著「経験経済」(\1,770-流通科学大学出版)です。
 内容は堺屋太一の『知価革命』系統のニューパラダイム論で、も
っと具体的な内容です。

 

 おおざっぱに言って経済の主要な財は、
 (1)コモディティ(農産物・鉱物)
→(2)商品(加工品・工業製品)
→(3)サービス
→(4)エクスペリエンス(経験)
という風に発展(かつ陳腐化)し、現代はもはやアダム・スミスや
マルクスなどの時代の物質的な「商品」が財であるという概念とは
全く逆の「心にしか残らない、どんどん消費される財」である「経
験(エクスペリエンス)」が経済の主要な財として取り扱われる時
代になった、という話(ニュー・パラダイム)です。

 

本としての難易度としてはさほど難しくないので、今回はテキス
トを読むのではなく、日本の状況と比べたり普通の経済学とどう違
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