完全資本市場が存在する場合の投資

完全資本市場が存在する場合の投資

完全資本市場が存在する場合の投資

 ある人が商売を始めようとする。

 

 お金を投資して、店でも開こうとする。

 

 このオーナーが借入をせず、自分の手持ちの資金を投資に回さねばならないなら、この投資がなされるかなされないかはオーナーの「好き嫌い(選好)」によって決定される。

 

 しかしもしこのオーナーが銀行や市場から資金を調達できるとしたら、好き嫌いではなく「儲かるか儲からないか」ということによって、この投資の是非が決定される。

 

 自分の手持ちの資金は使わなくてもよいから、資金を調達して儲けが出せそうかどうか、という判断によって決定される。

 

完全資本市場が存在する場合の投資

 

 さて、オーナーにとって借入金利と貸し出し金利が同一水準にあると仮定しよう。

 

 つまり金を借りる場合の金利がrなら、金を貸す場合の金利もrであるという状況であり、この状態を特に「完全資本市場(パーフェクト・キャピタル・マーケット)」と呼ぶ。

 

 完全資本市場というのは、誰もが同じ条件で金を借りることができ、そして誰もが同じ条件で金を貸すことができる、という市場のことだ。

 

 言ってみれば不特定多数の貸し手と借り手が市場に存在し、どの貸し手もどの借り手も市場には影響を及ぼさない、、、ということである(たぶん)。

 

 で完全資本市場においては貸出金利も借り入れ金利も同一だから、オーナーが1000万円を貯金して貸し出して得られる利益は1000r万円で、一方1000万円借り入れて支払わねばならない利息も1000r万円となる。

 

 だから、「機会費用(他の用途に振り向けた場合の利益)」と「資金の借り入れコスト」は同じになる。

 

 つまりオーナーが自己資金1000万円を投じて支店を開店した場合、支店を開店せず貯金によって受け取れるはずの利息1000r万円を失う事になるが、1000万円を借り入れて支店を開店した場合に支払わねばならない金も1000r万円になる。

 

 だから、結局どういう組み合わせで開店資金を調達しても、失うお金(支払うお金)は1000r万円になる、、、と言うことである。

 

 そうすると実際に自己資金をいくら投入するとしても、それを全て借入金によってファイナンスされたモノとして計算してもよいことになる。

 

 だから、ここにフィッシャーの分離定理が成立する。

 

 すなわち 「資本市場が完全であるならば、オーナーによる投資決定は、 投資からの予想収益と利子率のみに依存し、個人消費とその タイミング(時点)に関するオーナーの選好には依存しない」と言うことになる。

 

これを「フィッシャーの分離定理」と呼ぶ。


フィッシャーの分離定理の利点

 フィッシャーの分離定理の利点は、「投資決定が個々の投資者の事情に依存しない」という事である。

 

 つまり二つの企業で合弁会社を作るような場合、その決定はそれぞれの企業の事情にはあまり関係がない。

 

 すなわちその合弁事業が上手くいくかどうかが、その合弁事業を始めるかどうかと言う決定に影響するだけで、片方の会社が他の部門で傾きかけていても関係がない。

 

なぜなら合弁会社の資本は自己資金ではなく借入金で賄えるという前提なのだから。

 

 そしてまたこの考えは、大企業を所有者(株主)と別個の存在として考えるという根拠の一つとなりうる。

 

 つまり大企業がどのようなプロジェクトを行おうと、それが借入金で行われるのであれば、株主の資産には関係があまりない事になる。

 

 もちろんこれは「完全資本市場」という想定のもとでの結論である。

 

 だから、現実にそのまま応用することはできないであろうが。

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