私有制経済の新古典派モデル(後編)

私有制経済の新古典派モデル(後編)

私有制経済の新古典派モデル(後編)

 前回の続きですが、この章の視点についての説明の部分が抜けて
いました。よむのでRから転載しておきます。

 

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「文明が進むにつれて我々は分業によって社会を支えるようになっ
た。分業化された仕事を専門的に請け負うことによって、各自が自
分に必要な財やサービスを一から作る場合より、はるかに多くの財
やサービスを作りだし、手にできるようになった。
 だがしかし、分業化され専業化が進みすぎたため、全体をコーデ
ィネートすることがとんでもなく煩雑で大がかりになってしまった。
 しかし自由主義社会に置いては、共産主義国のように中央政府が
財やサービスをコントロールしてコーディネートしているわけでも
ないのに共産主義国よりはるかにうまくそれがコーディネートされ
ている。
 巨大でグローバルな地球規模経済でなぜそんなことが達成可能で
あったのか、この章では自由市場の働きについて考えてみる。」

 

 

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       「私有制経済の新古典派モデル」その2

 

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消費計画(復習)
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 一人一人の消費者の持つ財や提供できるサービスのリストをベク
トルEで表そう。

 

 たとえば
  E1:お金
  E2:労働力
  E3:土地や貴金属など金銭以外のストック
  E4:知識
  E5:食費や光熱費、家賃(生活必需品)
  E6:自家用車(趣味・嗜好品)
とすると、ベクトルEは

 

 E=(E1、E2、E3、E4、E5、E6)

 

となる。

 

 実際にはEの要素Eiは、この世にあるありとあらゆる財やサービ
スのことであり、とんでもない品目数になるのだが、ここでは簡単
に六要素で表してみた。

 

 そしてこの人がある月に市場に提供した(つまり売った)労働力
や知識や資産などの財やサービスなどのリストをS、また逆に市場
から手に入れた報酬や知識や資産などの財やサービスなどのリスト
をBとする。すなわち

 

 S=(E1'、E2'、E3'、E4'、E5'、E6')
 B=(E1"、E2"、E3"、E4"、E5"、E6")

 

である。
 ただし持っていないモノは原則として売ることができないので、
Sの要素であるE1'はE1'≦E1、Ei'はEi'≦Eiである。

 

 さて市場でモノを売り買いする場合は、モノの値段が決まってい
なければならないから、そのリストをPとすると、ある人が自分の
所有するものを売って得た金の総額は、

 

       PS=Σ(Pi・Ei')

 

となり、逆に支払った総額は

 

       PB=Σ(Pi・Ei")
となる。

 

 株式などを持っていればその配当金なども同様に考える。
 つまり企業jの株式を割合F(0≦F≦1)だけ持ち、企業jの
配当総額がDならFDだけお金を受け取ることになる。つまり

 

      FD=Σ(Fj・Dj)

 

である。

 

 さてある人にとってPB≦PS+FDならそれは「購入可能」で
ある。そして効用のために消費する財やサービスのリストCという
ものがあれば、各人はそのCに従って効用U(C)を得ることにな
る。
 人々はそうして自分の買いたいモノを考え購入する。これを
「消費計画」という。

 

 新古典派モデルでは、人々は購入可能な範囲でその人の満足(効
用)を最大にする選択をとるものと仮定している。

 

、つまり
「どんな消費の仕方をしても、もう少し欲しいと思う財やサービス
が必ず存在する」(局所的満足非飽和)
ということが仮定され、その結果人々は
「所得を全部使い果たす」
と考える。

 

   ∴PB=PS+FD

 

(要するにたいていの人間は、お金があったら使うし、貯金があっ
てもそれはいずれ何かに使うだろう、、、ということですね)

 

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生産計画
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 では企業はどう生産を行うか。

 

 企業には、生産するモノのリストであるベクトルO(output)と、
それを作るために必要な投入物のリストのベクトルI(input)が必要
だ。

 

 企業が利用可能な技術でIからOを生産できるなら、「生産可能
である」と言うことになるが、生産可能な生産の組み合わせ(IO)
は一つとは限らない。だから生産可能な組み合わせの集合をTとす
ると(IO)∈Tである。

 

 さて価格Pが所与のものとすれば、消費計画のところでやったの
と同様の定義により、産出物の販売から得る企業の総所得はPO、
労働者に支払う賃金や原材料の購入資金やその他の支出はPIとな
る。

 

 そこで新古典派モデルでは、企業は利潤にのみ動機づけられてい
ると仮定して、生産可能な組み合わせ(IO)の中から利潤である
(PO−PI)を最大にする生産計画を選択するとする。

 

 そして企業は実際に生産を行い株主に配当Dを支払うわけだから、
D=PO−PI となる。

 

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■注: この私有制経済モデルでは、以下の条件を仮定している。

 

 すなわち
1)各企業は生産可能な生産計画によって生産する。
 (つまり生産不可能な生産には投入物を投入しないものとする)

 

2)各消費者は、消費計画が定める財やサービスを提供できる。
  逆に言えば労働力は存在する労働力以上提供できないし、存在
 しない原材料は使えない。だからS≦Eである。

 

3)この経済で取り引きされる各財の総量は、この経済の入手する
 総量を上回らない。つまり消費者が購入したり企業が投入したり
 する財やサービスの合計ΣB+ΣIは、消費者が売りに出したり
 企業が生産したりする財やサービスの合計ΣS+ΣOより小さい。
   ∴ ΣB+ΣI≦ΣS+ΣO

 

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競争均衡(コンペティティブ・イクウイリブリウム)
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 市場を通しての取引は、供給と需要のギャップを埋める方向に
調整圧力がかかり、価格によって需給バランスをとろうと動く。

 

 要するにみんな得はしたいが損もしたくないので、それらが最小
になる方向に価格が決まる。調整圧力がなくなった状態を特に
「競争均衡」と呼ぶ。

 

 この状態では消費者が売りに出した労働力などの財やサービスや
企業の生産物の合計(つまり総供給)と、消費者が手に入れた賃金
や企業の投入物の合計(つまり総需要)が均衡する(つまり量的に
等しくなる)から、
     ΣS+ΣO=ΣB+ΣI
となる。

 

 そうしてこの(PBSIO)が競争均衡における価格リストと
諸計画の組み合わせであるとすると、その配分は効率的であると
言える。

 

 これを特に「厚生経済学の基本定理」という。

 

NEXT:厚生経済学の基本定理の証明

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