販売交渉と価値測定費用

販売交渉と価値測定費用

販売交渉と価値測定費用

売り手と買い手の二人の人間を考えてみる。

 

売り手はある品物を1個持っていて、買い手はその品物が欲しい、、、、とする。

 

売り手も買い手もその商品について「私的な情報」を持っている。

 

たとえば売り手にとってその商品の価値は、2ドルかまたは0ドルであり、買い手にとっては1ドルか3ドルのいずれかであるというモデルを作ってみる。

 

 そうすると、

  • 売り手は買い手が3ドル出すなら売る。
  • 1ドルしか出さないなら売らない。

ということになる。

 

 完備情報の下では(つまり双方とも相手の考えていることがわかっているなら)、そういうことになる。

 

<買い手の価値> 1ドル 3ドル。
<売り手の価値> 0ドル 1ドルで交渉成立。

 

だがしかし実際には、買い手にとってその財が3ドルの価値があったとしてもそれを売り手に言わず「1ドルの価値しかない!」と言う場合がよくある。

 

売り手は買い手が3ドルまで出すだろうと考えている間は価格交渉を続けるが、買い手がその財に1ドルしか出さないと信じると、交渉を打ち切ることによって自分の利益を確保する。

 

同様に売り手もその財の価値が売り手にとって0であっても、「2ドルの価値がある!」と主張することによって、財の価格を高くできる可能性を得る。

 

 このように自分にとっての価値(私的情報)を偽って利益を得ようとすることを「虚偽表明」という。

 

この種の「虚偽表明」を防ぐためには、自分にとってのその財の価値を「告白」することが、売り手にとっても買い手にとっても同等に望ましくすればよい。

 

(以下ごちゃごちゃと確率計算)、、、で結果として残念ながら、利己的に行動する当事者にとって真実を報告することが望ましく、かつ、取引に価値がある場合には常に取引が成立するような価格を見つけることはできないのである。

 

 

情報の非対称があっても、効率性が達成される場合

 

価値が私的情報になっている場合、買い手の真の価値が売り手の真の価値を上回っていても、取引が成立しない可能性がある。

 

正直な買い手に対して自分の価値を水増しする売り手のリスク(つまり必要以上に高く売りつけようとして売り損なう危険)も、正直な売り手に対して自分の価値を偽る買い手のリスク(つまり必要以上に安く買おうとして買い損ねる危険)もともに低い場合、そうしたことが起こる。

 

 つまり売り手が売りたくないような素振りを見せたり、買い手が買いたくないような素振りを見せたりすると、正直に自分の欲望を告白することが不利になり、取引自体が成立しにくくなるのである。

 

一方正直な買い手に対して自分の価値を水増しする売り手のリスクも、正直な売り手に対して自分の価値を偽る買い手のリスクもともに高い場合には、虚偽の申告をすると取引自体が成立せず損益をだすことになるので、正直に価値を申告するインセンティブが生じ取引が成立しやすくなる。

 

この場合は私的情報・情報の非対称があっても、完備情報下での効率的な結果は排除されない。


インセンティブ効率的(インセンティブ・イヒシェント)

インセンティブ両立制約が満たされている場合の効率性を、インセンティブ効率的という。

 

両立制約というのは、取引当事者がともに取引を行って利益がある範囲のもとで、、、、という意味で、さっきの例では1ドルと2ドルの間ということになる。

 

 Win-Win関係なんて言う。

 

測定費用と交渉ポジションへの投資

 

多くの交換取引では、取引される財の持つ重要な特性や品質を、買い手もしくは売り手は知らないことが多い。

 

たとえば石油会社がある地区の石油採掘権を購入する時、売り手も会社もその埋蔵量やその価値がはっきりわからない。

 

新しい製造機械を購入する場合でも、その設備の価値や寿命はもう一つよくわからない。

 

だから買い手も売り手も財の価値を知り、決して損をしないように費用をかけてその財の情報を集める。

 

そうしなければ「逆選択」や「機会主義的な虚偽表明」によって大きな損失を被ることになるだろう。

 

逆選択(アドバース・セレクション):  たとえば配当金が高い自動車保険を売り出すと、事故をよく起こす人ばかりが大勢加入して、保険会社が損をしてしまうような状態を「逆選択」という。

 

一般に自分の不利になる情報を相手方が持っている、、ということかな。

 

詳しくは次回。

 

これらの情報調査コストは社会全体からみると浪費だ。

 

 しかし、情報を収集することによって財の価値は正確に反映されるようになる。

 

 つまり調べることによって商品の価値がハッキリするわけだ。

 

 しかし、しかしそれは残念ながら生産ではない。

 

だから、全体としては富を減らすことになるのである。

 

そして財の真の価値と見かけの価値との差以上に情報コストがかかるなら、逆に損してしまう。

 

だから価値最大化原理によれば、この種の測定費用を少なくする方が良く、そのための制度が作られる、、、ということになる。

 

 

デビアス社の例

 

デビアス社はダイヤの原石を大まかな等級に分け、一定量ずつサイトという箱に詰め、バイヤーにそれを売る。

 

取引交渉はしない。

 

バイヤーはそれを買うかどうか決めるだけである。

 

これはデビアス社がダイヤモンドの原石の80%をコントロールしているお陰でそういう事ができるのだ。

 

 しかし、しかし取引交渉をしないので、ダイヤの原石を細かく調べるコストが不必要になる。

 

そして同時にバイヤーも、デビアス社が出す原石がパック詰めされていて皆がそれを買わされることを知っているので、自分が買わされるサイトが他人に提供したダイヤ原石の選り残しでないことがわかり、それ相応の金額を払うことに納得する。

 

そうして売り手も買い手も財の価値を見極める費用を安く上げているわけである。

 

スーパーなどで果物や野菜のパック詰めになった商品を売買したり、電化製品に保証書を付けてものを売ったりする場合も同様で、こういう商慣行はそうすることによって、「実際に売り買いする財の価値を確かめるコストを節約している」わけである。

 

交渉を有利に進めるための投資

これらの測定費用というものは、交渉や取引を有利に進めるための支出と呼ぶべきものである。

 

だがこれらは決して生産的ではない。

 

できれば最小の費用で済ませたい。

 

そういう意味では「駆け引き」「ポーズ」「合意の先延ばし」も大きな無駄な費用となる。

 

この費用が大きくなると、契約の合意に至らない可能性が高くなる。

 

今回の・・・・

 交渉をしない! というのも大胆だけど、基本的にスーパーなんかも商品の値段を勝手に決めて「勝手に買え」てな感じだな。

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