モニタリング強度原理

モニタリング強度原理

モニタリング強度原理

モニタリング強度原理
----------
 前項では、業績の評価法については「所与given」として考えた。

 

 だがしかし資源配分を変更し、モニタリング(評価法)を改善すれ
ば効率のよいインセンティブを作り出すことができるはずである。

 

 だがしかし、どれくらい資源(お金や人材)をモニタリングに回
せば良いのだろう?

 

 モニタリングに費用をかければ、とりあえず測定誤差の分散が小
さくなるものだと仮定して、この問題を考えてみよう。

 

 努力測定に伴う分散(ばらつき)Vを考え、V以下に分散を押さ
える時のモニタリング・コストをM(V)とする。

 

 Vを小さくするためには一般的にMを大きくすることになるから、
M(V)は減少関数である。またVが大きいとき少しVを減らすだけな
らMの増分はわずかで済むだろうが、Vを0に近づけようとするな
ら膨大な費用がかかることが予想される。よってM'(V)は増加関数
だと考えられる。

 

 ここでまた「総確実同値額」の式を持ち出してみる。

 

  (同値額)=P(e)-C(e)-(1/2)rβ^2・V

 

M(V)はもちろん消費される費用だから、ここから引くことになる。

 

   (同値額)=P(e)-C(e)-(1/2)rβ^2・V−M(V)

 

他の条件を所与のモノとしてこの式をVで微分すると、

 

    0=−(1/2)rβ^2−M'(V)

 

となるので、Vを減少させるための追加費用−M'(V)=(1/2)rβ^2
ということになる。

 

 つまり業績測定費用をかけるとβは小さくても効く。費用をかけ
ないとβを大きく設定しなければインセンティブは弱くなる。
 これを「モニタリング強度原理」という。

 

 

(つづく)
------------------------------------------------------------

 

          ここまでの復習 

 

------------------------------------------------------------
----------
★リスクプレミアム
----------
 大抵の人間は「リスク回避的」である。そしてリスクを回避する
ために、リスクプレミアムを支払う。その額は報酬のばらつきをV
とすると、
         −(1/2)rβ^2・V
となる。

 

 この式は「組織の経済学」の271ページに導出過程がでているが、
テイラー展開で効用関数を開いて、そこに期待値を放り込み、さら
にインセンティブ契約のw=α+β(e+x+γy)を代入した結果
から出てきた式である(近似式)。

 

 ここで三つの式が出てきて、

 

1)従業員(エージェント)の確実同値額(つまり報酬決定式):
      α+βe−C(e)−(1/2)rβ^2・V
                 C(e)は努力eに必要なコスト

 

2)雇用主(プリンシパル)の確実同値額(つまり利潤):
      P(e)−(α+βe)   P(e)は粗利潤の期待値

 

3)トータルの確実同値額:
      P(e)−C(e)−(1/2)rβ^2・V−M(V)
                  M(V)はモニタリングコスト
となる。

 

 

----------
★インセンティブ制約式
----------
 さてこれらの式を元に従業員にインセンティブを与えるような報
酬体系を実際に作るには、αやβなどの係数を決めねばならない。

 

   報酬:w=α+β(e+x+γy)

 

のαは固定給部分、βはインセンティブ強度(インセンティブの強
さ)であるが、これを決めるには注意しなければならない様々な制
約がある。

 

 まずβに関する第一の制約が「インセンティブ制約式」で
β=C'(e)を満たさねばならない。

 

 つまり従業員に努力を要求するなら、それに見合ったβを設定し
なければならない。それ以上でもなくそれ以下でもダメである。

 

 でなければ効率的なインセンティブ、つまり従業員に一様な線型
の、どんな状況においても恒常的な努力を求めるようなインセンテ
ィブを作り出せない。

 

 次に従業員個人の業績を示しやすい指標を積極的に評価し、また
あまり個人の働きとは関係ないような指標を除外しなければ、総価
値は増大しない。
 つまり儲けを漫然とばらまくとインセンティブとしての効果が薄
れるし、会社も儲からない(「インフォーマティブ原理」)。

 

 さらに
     β=P'(e)/{1+rVC"(e)}
という式で、
1)追加的な努力がもたらす利潤の増分 
2)リスク回避度
3)業績評価の正確さ
4)インセンティブに対するレスポンス(反応)の強さ
にインセンティブ強度係数βが依存するということがわかる(「イ
ンセンティブ強度原理」)。

 

 最後に今回の「モニタリング強度原理」では、Vを小さくすれば
インセンティブがよく効くようになり、そのためののコストが
−M'(V)=(1/2)rβ^2
という式で表される。

 

 まあ、モデルでは、、、ということですが。

 

NEXT:均等報酬原理

スポンサードリンク

このエントリーをはてなブックマークに追加