ケインジアンの交差図

ケインジアンの交差図

大恐慌とIS−LMモデル

 1929年の世界大恐慌は、古典派モデルでは説明できない経済の大
停滞となった。

 

 古典派モデルでは、資本・労働・技術が総供給すなわち国民所得
の大きさを決め、失業者が街に溢れたり停滞が長引くのは価格や労
賃が伸縮的でないせいであるということになるのだが、現実にはデ
フレ=スパイラルが起き、大不況や恐慌になってしまうのだ。

 

 ケインズによるとその原因の一つは価格や労働報酬は下方硬直的
であるということであり、もう一つは不況による低賃金と高失業率
による「総需要不足」である。

 

 経済全体の資本や労働や技術を全て使って供給できる財やサービ
ス(すなわち総供給)に対して、それを購入する総需要の方が遙か
に不足しているから価格が下落しなければならないが、価格は短期
的には硬直的であるから「総需要のシフトが総供給や所得に影響を
及ぼす」のである。

 

物価水準P
 | \  \
 |  \  \
 |   \  \
 |    \  \    
 |―――――\――\―――固定物価曲線
 |      \  \AD
  ――――――――――――――――
       Y'←←Y    所得・産出

 

 前章では、政府や中央銀行による金融政策によって総需要曲線が
変化するということを示したが、これからは総需要を考えるために、
IS−LMモデルを用いることにする。

 

 IS曲線のIとはインベストメント(投資)のI、Sはセービン
グ(貯蓄)のSである。

 

 一方のLM曲線のLとはリクイディティ(流動性)のLであり、
Mはマネー(貨幣)のMである。

 

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ケインジアンの交差図

 

 さて家計や企業、そして政府は、財やサービスを購入するために
まず計画を立てる。

 

 Aにいくら、Bにいくら、そしてCにいくら支出するかというこ
とをとにかく考える。

 

 で、経済が閉鎖的でNX=0の場合をまず考えると、計画支出E
は E=C(消費)+I(投資)+G(政府支出) となる。

 

 ここで消費Cが可処分所得Y−T(税金)の関数であると仮定す
ると、
 E=C(Y−T)+I+G
ということになる。

 

 この式に登場する変数のうちTやGは政府が決定するものであり、
経済の外側で決まるモノである。

 

 そして投資Iも実は将来の見通しから現在の投資水準が決定され
ると考えると、やはり現在の経済の外側で発生するものである。

 

 さて可処分所得が増えると消費が増えると考えられることより、
この計画支出Eは総生産Yを変数とする関数であると考えられる。

 

 つまりYが増えるとEが増えるという感じで、この曲線の傾きが
「限界消費性向MPC」である。

 

 ちなみに限界消費性向とは、収入が1単位だけ増えたときに消費
がどれだけ増えるかという値であり、たとえば給料が一万円増える
とそのうち何千円を使うか? というようなもんである。

 

 ハッキリした値はわからないがMPCは日本ではだいたい70%
から80%といったところで、要するに一万円収入が増えたら平均
して日本人はそのうち八千円を使い二千円を貯蓄に回すということ
であるから、E=C(Y−T)+I+G という曲線は、EとYが
均衡している45度線より傾きが緩やかになるはずである。

 

 Y=Eの45度線とE=C(Y−T)+I+G線の交点が、つまり
{現実の支出}={計画支出}
であり、ここが均衡水準である。

 

 この図を特に「ケインジアンの交差図」という。

 

 企業が均衡水準のYより高い水準での計画支出をしていると、意
図しない在庫増大が起こり、生産を減らす。
 そして逆に均衡水準より低い水準での計画支出をしていると、意
図しない在庫減少がおこり、生産を増やす。
 これによって産出水準は均衡水準のYに近づくことになると考え
るのである。

 

E(計画支出)
|      Y=E
|     / 
|    /  
|   /  
|  /   
| /
|/
 ――――――――――Y(所得・産出)
     y

 

※ここでは30度の線が描けないので、上図に30度くらいの傾き
の曲線を書き入れて交点があるものと考えてください。

 

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