マクロ経済政策論争記事一覧

 経済は元々安定的なモノか、それとも不安定な方が常態か? 元々安定的なモノであれば、不安定を引き起こす要因を取り除く努力のみをすればよい。それさえなければ元々安定的なモノだから勝手に安定する。 そして元々不安定なモノならば、常に舵取りを行わなければならない。なぜなら不安定なんだから安定させる努力を常にしなければならないからである。 政府に経済を安定化する努力が必要だと考えるようになったのは、比較的...

 経済政策や財政政策を策定し、それを実行したとしても、それが直ちに効果を現すわけではない。 金利や株価のようなモノは政策策定時に反応するにしても、実経済が反応するのはずっと先である。 このような政策実施と効果の間にある時間的ズレを「タイム・ラグ」と呼び、そしてさらに経済学者達はこれを「内部ラグ」と「外部ラグ」に分ける。1)内部ラグ: 経済に対するショックとそのショックに対応する政策行動までの時間的...

 経済政策に関して議論が分かれる問題の一つに、「経済政策はルールで行うべきか、それとも裁量で行うべきか?」というモノがある。 ルールで経済政策を行うとは、政策決定者がどういう場合にどういうルールでどういう経済政策を実施するかを表明しそれを実行する、ということである。 一方裁量で行う場合とは、政策決定者がどのような場合にどういう政策を実施するかを表明せず、状況に応じて自由に政策を変更するということで...

 前回見てきたとおり、裁量で経済政策を行うことは経済の政治に対する不信感を増大させる。 この前当局はこう言ったが、次は何を言い出すかわからない、、そんな状態では、だんだん政策の効果が薄れてくる。 またそのうち風向きが変わるだろう、、また変更があるだろう、、そういうことを織り込みながら企業は生産計画を立てるし、家計も減税の後は増税があるだろうと考えて、減税しても支出を絞り込む。 つまり裁量で経済政策...

 国家の歳入と歳出が均衡しているべきだ、という主張はよくある。 だがしかし、それを支持する経済学者は殆どいない。というのもそれは単に、財政を企業の経営や家計と同じ見方で見ているだけであり、政府が増税したり紙幣を刷って歳入を増やすことが(制限付きながら)自由にできるという事実を忘れている。 政府は企業や家計と違ってお金を造ることができる。 日本では「発券収入」を禁止しているが、政府の歳入として毎年決...