国民所得の話記事一覧

 最初の号でも書きましたが、マンキューのマクロのアプローチは短期的には賃金などの価格の下方硬直化が起こっても、長期的には市場均衡が起こると考えられる長期分析から始め、そこから短期分析に焦点を移すというものです。 だから第二部の長期分析では最初に、以下のような仮定を置く。 すなわち、・資本ストック、労働力、生産技術は一定である。・労働力は完全雇用される。・財・サービスの取引手段としての資産である貨幣...

■要素価格---------- 経済(閉じた経済)における総産出は総所得に等しい。つまり総収入は売れた財やサービスの価格の総合計に等しい。 一方、財やサービスの生産は生産要素(生産機械や土地などの資本Kと労働L)と生産関数(ある財を一単位生産するのに必要なKとLの割合)によって決定されるから、国民所得もそれによって決まることになる。 「貨幣のフロー循環図」を思い出すと、「企業」 ↓ (要素代金支払...

 労働量を一単位増やしたとき生産量が何単位増加するかという数値の事を「労働の限界生産力MPL」と呼ぶ。 MPLとはマージナル・プロダクト・オブ・レイバーであり、つまり   MPL=F(K、L+1)-F(K、L)である(生産関数のLにおける偏微分ですね)。 で大抵の生産関数は、労働の限界生産力逓減の法則に当てはまる。 つまり生産機械などの量を固定しておいて労働者や労働時間だけを増やしてみても、労働者...

 労働量を一単位増やしたとき生産量が何単位増加するかという数値の事を「労働の限界生産力MPL」と呼ぶ。 そして大抵の生産関数は、労働の限界生産力逓減の法則に当てはまる。つまり生産機械などの量を固定しておいて労働者や労働時間だけを増やしてみても、労働者が増えるほどには生産量が増えないのである。だから企業は市場価格をにらみながら、一番利潤が大きくなる生産量と労働投入量を選ぶことになる。 そこで労働量を...

 ここまでの話を少しまとめておくと、1)生産水準を決定するのは、存在する生産要素(資本Kおよび労 働量L)の量と、生産関数(Y=F(K、L))である。  時間が経って資本や労働の量が増えれば産出量は増えるし、生 産技術が向上して利用可能な技術が改善されれば産出量も増える。2)産出した所得の分配は、限界生産力に応じて労働報酬MPL・L と資本報酬MPK・Kに分配される。ということである。 さて次に考...

 企業は利潤を最大化するためにMPL=W/Pとなる点まで労働力Lを投入する。そして利潤を最大化するためにMPK=R/Pとなる点まで資本を借り入れる。この時の産出量をYとすると、生産物で測った利潤は       Y-MPL・L-MPK・Kとなるが、これを特に「経済学上の利潤(EP)」とよぶ。 ∴ Y=(MPL・L)+(MPK・K)+EP∴「総所得」=「労働への報酬」+「資本への報酬」+「EP」 現実...

 ここまでの方程式をまとめてみる。 Y:産出量(国内総生産GDP)、C:消費、I:投資  G:政府購入、T:税金 r:利子率 について、  Y=C+I+G  C=C(Y-T)  I=I(r) 一番上の式に他の式を代入すると、  Y=C(Y-T)+I(r)+G   ……(*)となるが、ここでGとTは政府によって決められていて一定だし、Yは存在する生産要素(資本や労働力)と生産関数(生産技術)によって...

 国民所得勘定の恒等式:  Y(総生産)=C(消費)+I(投資)+G(政府購入)         +NX(純輸出) 貯蓄S:  S(貯蓄)=Y(総生産)-T(税金)-C(Y-T)■投資・利子率・貯蓄---------- Y:産出量(国内総生産GDP)、C:消費、I:投資  G:政府購入、T:税金 r:利子率 について、  Y=C+I+G、C=C(Y-T)、I=I(r)∴ Y=C(Y-T)+I(r)...

 さてでは投資需要の変化の原因と影響は何だろうか? 投資需要の変化、すなわち「投資が増えるかも知れない」理由のひとつが「技術上のイノベーション(技術革新)」である。 たとえばパソコンというものが発明されたなら、企業や家計はパソコンを利用する前に投資財を購入しなければならない。 また政府の税制も投資需要を変化させる。 たとえば政府が個人所得税を増やし、増収分を新しく資本に投資する人への減税に使うとし...