均衡と利子率

均衡と利子率

均衡と利子率

■経済学上の利潤・会計学上の利潤
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 企業は利潤を最大化するためにMPL=W/Pとなる点まで労働
力Lを投入する。そして利潤を最大化するためにMPK=R/Pと
なる点まで資本を借り入れる。この時の産出量をYとすると、生産
物で測った利潤は
       Y−MPL・L−MPK・K
となるが、これを特に「経済学上の利潤(EP)」とよぶ。
 ∴ Y=(MPL・L)+(MPK・K)+EP
∴「総所得」=「労働への報酬」+「資本への報酬」+「EP」

 

 現実の多くの企業は資本を「所有」していて、企業は生産者であ
ると同時に資本の提供者であるから、資本に対する報酬MPK・K
のいくらかを手に入れることができ、世間一般でいう「利潤」すな
わち「会計上の利潤(AP)」で考えると
 {利潤}= AP = EP + MPK・K
である。
 つまり国民所得における利潤は殆ど資本に対する報酬であり、
「国民所得(総産出)は、限界生産力に応じて労働報酬と資本報酬
に分配される!」

 

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■財やサービスの需要
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 生産によって得られた産出物がどのように使われるか。
 前述したとおりGDPは「消費C」「投資I」「政府購入G」
「純輸出NX」という四つの構成要素からなっているが、現在議論し
ている経済は、他国との貿易が無視できる「閉じた経済(閉鎖経済)
」でNXはゼロであるから、国民所得勘定の恒等式は
   Y=C+I+G
である。

 

(1)消費C(ConsumeだからC)
 消費の主体は「家計」である。
 家計は経済の総産出Yを労働報酬と資本報酬という形で「全部」
受け取るが、このうち政府にTだけの税金を支払う。
 収入Yから税金Tを引いた金額がすなわち「可処分所得(ディス
ポーザブル・インカム)」であるが、家計はこの可処分所得を「消
費」と「貯蓄」に振り分ける。
 とすると消費関数はC=C(Y−T)と定義できる。
 可処分所得とは「消費してもよい所得」であるから、消費関数は
基本的に右上がりになる。
 C(消費)
  ↑         
  |       /C=C(Y−T)
  |      /
  |     /
  |--------/

  |   / 
  |  /  
  | /   
  |/   
 0 ―――――――――――→可処分所得Y−T

 

 そして消費関数C=C(Y−T)の傾きがMPCつまり「限界消費
性向」である。限界消費性向は、所得が一単位増えたときに消費が
何単位増加するかという指標であり、C=C(Y−T)の微分係数で
ある。

 

2)投資I
 投資は利子率に大きな影響を受ける。というのももし利回りが5%
の投資機会があったとしても、銀行に預ければ10%の利子が付く場合
はこの投資には金が回らないのが普通だからである。すなわち
「利子率が高いほど収益性のある投資計画は少なくなる」。
 投資は利子率rの関数だから、I=I(r)と定義される。
 r(利子率)
  ↑
 |   \  
 |    \ 
 |     \
  |---------- \
 |      ・\
 |      ・ \
 |      ・  \I=I(r)
 |      ・   \

0 ―――――――――――――――→I(投資)

 

3)政府購入G
 政府は道路や橋や公園、学校や図書館などの公共物を建設し、公
務員を雇って公共サービスを行う。このための支出が政府購入G
である。ただし福祉や社会保障のための支出は政府購入には含まれ
ない。 というのも「何も買わないから」である。
 福祉などの支出はお金を政府から福祉の対象者に「移転」した
だけであり、それは対象者の「所得」なのである。よってこれは
政府購入には入らない。消費になる。
 均衡財政では当然G=Tとなる。赤字財政ならG>Tであり、黒
字財政ならG>Tであるが、これらを決めるのは「効率」ではなく
「政治」であるから、 これらの数値は経済システムの外部で決ま
る「外生変数」なのである。一方CやIは「内生変数」である。
 外生変数が内生変数にどう影響を及ぼすか、次の項で考える。

 

 

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           均衡と利子率

 

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 ここまでの方程式をまとめてみる。

 

 Y:産出量(国内総生産GDP)、C:消費、I:投資 
 G:政府購入、T:税金 r:利子率 について、
  Y=C+I+G
  C=C(Y−T)
  I=I(r)

 

 一番上の式に他の式を代入すると、
  Y=C(Y−T)+I(r)+G   ……(*)
となるが、ここでGとTは政府によって決められていて一定だし、
Yは存在する生産要素(資本や労働力)と生産関数(生産技術)に
よって決まってしまうので、これも一定である。
  G=(一定)、T=(一定)、Y=(一定)

 

 となると(*)式で一定でないのは、I=I(r)だけなのである!!

 

 投資Iは利子率rと逆相関の関係にある(つまりrが大きくなる
とIはちいさくなり、rが小さくなるとIは大きくなる)。

 

@)利子率rが高すぎると投資が少なくなりすぎて、産出物への需
要は供給に満たなくなる。つまり
 Y>C+I+G
である。
A)利子率rが小さすぎると投資が多くなりすぎて、
 Y<C+I+G 
となる(需要が供給を上回る)。

 

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■国民貯蓄(ナショナル・セービング)
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 国民所得勘定の恒等式Y=C+I+Gを変形すると、
 I=Y−C−G
となる。これを少し眺めてみよう。

 

 右辺は総生産から消費と政府の購入を差し引いたモノであるから、
「需要を満たした残りの生産高」であり「国民貯蓄」とか単に「貯
蓄(セービング)」と呼ばれるものである。

 

 ここで我々が普段よく行っている「貯金」を考えてみると、所得
から税金と消費を差し引いた残りだから、Y−T−Cである。
 これを「民間貯蓄:プライベイト・セービング」という。

 

 また政府貯蓄を考えるとT−Gであり、これを「公的貯蓄:パブ
リック・セービング」という。

 

 つまり最初の式はI=(Y−T−C)+(T−G)と書き直せる
わけである。

 

 さてI=I(r)とC=C(Y−T)を代入すると
 I=I(r)=Y−C(Y−T)−G
であるが、YとTとGは一定だから「投資と消費関数」が相関であ
り、貯蓄SもS=Y−C−G=I(r)だから、一定になる。

 

 だから貯蓄が利子率に依存しないモデルにおいての貯蓄と投資・
利子率の関係は、下のグラフのようになる。
 r'がつまり「均衡利子率」である。

 

 r(利子率)
  ↑      S(一定)
 |   \  |
 |    \ |
 |     \|
 r'|---------- \
 |      |\
 |      | \
 |      |  \I=I(r)
 |      |   \
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
         S

 

 つまり
「利子率は投資が貯蓄に等しくなるまで調整される」
のである。

 

 というのも利子率が低すぎると投資家は資金の借入れを増やし、
資金への需要が供給を上回る。すると当然利子率は上昇する。

 

 逆に利子率が高すぎると人々は投資より貯蓄にお金を回し、資金
への需要が供給を下回る。すなわち利子率は下降するからである。

 

 

 

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