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失業の上昇

更新日:

 

 過去四十年間のデータによると、アメリカの自然失業率は徐々に
上昇している。

 

 十年間の平均失業率は50・60年代では5%未満であったが、70・
80年代には6%を越えている。

 

 失業率の上昇トレンドについての仮説はいくつか提出されている
が、どれもハッキリした解明には至っていない。

 

 仮説について見てみよう。

 

 

1)ベビーブーマーと女性の進出による説。
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 アメリカでは第二次世界大戦後、出生率が著しく伸びた。

 

 そしてこの世代(いわゆるベビーブーマー)が1970年代に入って
労働市場に大挙して流れ込み、そのせいで失業率が上がった。
この世代では女性の進出も著しく、それもあって失業率が上がった
、、、、というのが第一の仮説である。

 

 さっきも述べたとおり、若年層の失業率は高離職率によって高く
なっている。だからベビーブーマーの若年層への登場が、全体の失
業率を押し上げたのだ

 

、、、、という説である。

 

 だがしかし各年齢層の失業率とも実は上昇しているので、この説
はアメリカの失業率の上昇トレンドを完全に説明するモノではない。

 

 

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2)共稼ぎ世帯の増加による説
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 女性の社会進出が盛んになったせいで、一世帯当たりの稼ぎ手が
増えた。

 

 そのお陰で世帯中の誰かが失業しても、急いで再就職しなくとも
よくなった(失業の長期化)、、、、だから失業率が上昇した。

 

 、、、というのが第二の説である。

 

 だがこれは残念ながらあまりデータと符合しなかった。

 

 仮説が正しければ仕事を持つ妻を持つ夫の失業率は、そうでない
夫の失業率より高くなければならないが、実際には逆に職業婦人を
もつ夫の方が失業率が低くなっていたのだ。
(奥さんが働いているせいで、夫も余裕を持って働いているという
ことかな?)

 

 

3)部門間シフトの広範囲化
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 第三の仮説は、部門間シフトが大規模化し、より広範になってき
たからだというモノである。

 

 部門間の再配置が大きくなればなるほど離職率は高まり、摩擦的
失業は増大する。

 

 アメリカの東海岸から西海岸へ生産拠点が移動したなら、労働者
も広大な大陸を移動しなければならなくなるが、それだけのコスト
を支払って再就職しようと言う労働者は少ない。

 

 だから失業率が高まったというのである。

 

 しかしこの説は実証が不可能に近い。

 

 

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■就業意欲喪失労働者
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 ここまでは、労働者数を一定であるとして考えてきた。

 

 だがしかし実際には、労働に参加しようとする者や退出しようと
する者が大勢いる。

 

 仕事からながらく離れた後に、また働こうとする者もいる。

 

 中には十分労働力として計算しても良いはずの、就業意欲喪失労
働者(観念して仕事を探さない失業者)だっている。

 

 これらは労働統計の計算には組み入れられないから、一国の労働
状況を把握するのは非常に困難である。

 

 失業は労働資源の浪費であるが、残念ながら実質賃金を均衡水準
に押し下げる政策も、失業者を0にする政策も存在しない。

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