続・固定為替レート制下での政策

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■復習
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★変動為替レート制下での財政・金融・貿易政策

 

1)小国開放経済で変動為替相場制の元では、政府購入を増やしたり
減税して消費を増やしても、その分為替レートeが上昇してNX(e)が
減り、結局GDPは上昇せず景気はよくならない

 

2)貨幣供給量Mを増やすと、為替レートが下がってGDPが増える

 

3)輸入制限を行うと、為替レートが上がるだけ

 

★固定為替レート制下での財政政策

 

1)小国開放経済で固定為替相場制の元では、政府購入を増やした
り減税して消費を増やせば、その分IS*曲線が外にシフトし、為替
レートeが上昇しようとするが、固定制を維持するために政府が貨
幣供給量を増やすのでGDPが上昇して景気がよくなる

 

 為替レートe
   |    LM*
   |  \→|\ |LM*' 
   |   \| \|
公定e|…………\……| 
   |    |\ |\ 
   |    | \| \IS*'
   |    |  \IS*
   ――――――――――― 総生産(総所得)Y
        y →y'

 

固定為替レート制下の金融政策

 

 金融政策とは、貨幣供給量を増やしたり減らしたりすることであ
るが、固定為替レート制下では貨幣供給量を政策によって増やした
り減らしたりはできない。

 

 何故かというと、固定為替制を維持するためには市中の交換レー
トと公定の交換レートを近づける方向に貨幣供給量を増減させる必
要があるからである。

 

 たとえば1ドル=100円が公定の為替レートで、実レートがも
し1ドル=150円だったとすれば、民間の交換で手持ちの2ドル
を300円にすることができる。

 

 そしてその300円は、政府機関で3ドルに替え戻すことができ
るので、固定相場と民間相場の差を利用して2ドルを3ドルにする
ことができてしまう。

 

 そうするとアメリカ政府はこの取引が1度行われるたびに1ドル
ずつ貨幣の供給量を増やさねばならないことになり、それを行った
ら実レートが公称レートに徐々に近づいていく。

 

 つまり一時的に貨幣供給量Mを増やしてLM*曲線を右にシフトさせ
ると為替レートが下がろうとするが、為替レートを固定するために
貨幣供給量を元の水準まで減らさねばならなくなるわけである。

 

 結局、固定為替レート制開放経済では、通常の金融政策は殆ど行え
ないことになる。

 

 

 為替レートe
   |    LM*
   |  \ |  |LM*' 
   |   \|  |
公定e|…………\←→| 
   |    |\ | 
   |    | \| 
   |    |  \IS*
   ――――――――――― 総生産(総所得)Y
        y←→y'

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固定レートの切り上げ・切り下げ

 

 固定為替レート制開放経済では、通常の金融政策は殆ど行えない
、、とは書いたが、実行できる金融政策が実はある。

 

 それは固定された為替レートを切り上げたり切り下げたりするこ
とである。

 

 

 為替レートe
   |     |LM*
   |   \ | |LM*' 
   |    \|→|
固定e|……………\ | 
 ↓ |     |\| 
切下e|…………………\
   |     | |\IS*
   ――――――――――― 総生産(総所得)Y
         y→y'

 

 上の図をみると固定為替レートの切り下げは、LM*曲線を右にシフ
トさせることがわかる。

 

 LM*曲線が右にシフトするということは、貨幣供給量が増えるとい
うことだから、切り下げによってGDPを増やすことができることにな
る。

 

 為替レートが下がれば、外国にとっては自国の輸出品が相対的に
安く買えることになるから輸出量が増える。その結果GDPが上昇する。

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