IS−LMモデルでのショック

IS−LMモデルでのショック

IS−LMモデルでのショック

■IS−LMモデルのまとめ(復習)
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 IS曲線: Y  = C(Y−T)+I(r)+G
 LM曲線:M/P = L(r、Y)

 

 IS曲線は、財やサービス市場の均衡を表し、利子率rと所得Y
は逆相関の関係にある(グラフは右下がり)。
 企業や家計の計画支出と45度線の交点が均衡点となるケインジ
アンの交差図から導かれる。

 

 LM曲線は実質貨幣残高市場の均衡を表し、利子率rと所得Yが
順相関の関係にある(グラフは右上がり)。
 ケインズの「流動性選好」から導出される。

 

 物価水準が「一定」の場合(=短期的)に、IS曲線とLM曲線
の交点に所得Yと均衡利子率rが決定される、、、
というのがIS−LMモデルである。

 

 

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       IS−LMモデルでのショック

 

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 今回は前回ご紹介したメールの296ページの応用問題6番を意識し
ながら読んで行くことにします。

 

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■296ページの応用問題6番
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<問題>
 連邦準備が次の二つの代替的な金融政策を考えているとしよう。

 

・貨幣供給を一定に保つ。
・利子率を一定に保つように貨幣供給を調整する。

 

 IS-LMモデルにおいて、次のような場合どちらの金融政策がより
よく産出量を安定化させるか?

 

1.経済に対するあらゆるショックが財・サービスへの需要の外生的
変化から起きる場合。

 

2.経済に対するあらゆるショックが貨幣への需要の外生的変化から
起きる場合。

 

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■IS曲線へのショック
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 財やサービスに対する需要が外生的に攪乱される時、IS曲線へ
のショックが生じる。

 

 つまり天災や事故で穀物や農作物の供給が不足したり、工場や道
路がダメになってロジスティクス(物流)が滞ったりして供給不足
が突然生じたような場合である。

 

 また世界のどこかで戦争が起こって、石油や資源の供給が突然乏
しくなるような事が考えられたり、アメリカが不況になって消費財
の輸出(特に贅沢品などの輸出)が大幅に減ると予想されたりする
ような場合も、IS曲線へのショックとなる。

 

 つまり何らかの「事件」で、企業や家計が投資や消費の計画を変
更するのがIS曲線へのショックである。

 

★ IS曲線: Y  = C(Y−T)+I(r)+G

 

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■財やサービスの需要が「増えると考える」か「減ると考える」か
が大きな問題!
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 IS曲線は「企業や家計の計画支出による調整」と「投資関数I
(利子率rの関数)」によって決まる(r、Y)のセットであるか
ら、そういう天災や事故や戦争や外国の不況によって、

 

「収入が減るから節約しなきゃ!」

 

と皆が考えれば、企業や家計は生産計画や消費計画を低く設定する
し、利子率rが低くてもそれに見合う投資はないと考えてI(r)は
低くなる(←投資関数自体が変化する)。

 

 その結果、利子率rが同じであっても消費Yは減り、IS曲線は
内側(左)にシフトして所得Yと雇用が減ることになる。

 

 その逆に

 

「財やサービスに対する需要が増える!」

 

と企業や投資家が考えれば、高い利子率rでも投資して儲かる場合
は増えるから投資関数I(r)は上にシフトし、その結果IS曲線は
外側(右)にシフトして所得Yと雇用が増えることになる。

 

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■LM曲線へのショック
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 LM曲線:M/P = L(r、Y)

 

 貨幣に対する需要が突然増えたり減ったりするのがLM曲線への
ショックである。

 

 貨幣に対する需要が突然増えるという例はよくわからないが、、
貨幣に対する需要Lが突然増えるとすると、、、
「所得Yは同じでも、利子率rが高くなる」
からLM曲線が上にシフトすることになる。 

 

 政府はこういうIS−LMモデルの外生的なショックに対処して
そのショックを和らげることができる(タイムラグの問題はあるが)。

 

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■問題を解く
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 そういうわけで、上の問題を解いてみる。
 まずIS−LMモデルのグラフと式を書き出しておく。

 

利子率r
 |  \    /LM曲線
 |   \  /
r*|    \/
 |    /\
 |   /  \
 |  /    \IS曲線
 |    
  ―――――――――――Y(所得・総生産)
0      y*
  IS曲線: Y  = C(Y−T)+I(r)+G
  LM曲線:M/P = L(r、Y)

 

 

 産出量Yを安定化させるために政府がとる政策は
 A(貨幣供給量を一定に保つ)
 B(利子率rを一定に保つように貨幣供給量を調整する)
の二種類であった。

 

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1)IS曲線へのショック
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 経済に対するあらゆるショックが財・サービスへの需要の外生的
変化から起きる場合
 → I(r)が変化・IS曲線のシフト
ということになるから、えーっと、

 

 将来の需要が増えると考えると利子率rが上がっても儲かりそう
な投資は多くなるのでI(r)は上昇し、IS曲線を右にシフトさせ
ることになる。

 

 これは同じ利子率rなのに産出量Yが増えるということだから、
上のIS曲線の右側に新しいIS曲線を書き込んでみる。

 

 こういう風にIS曲線がシフトすると、利子率rと産出量Yは両
方とも増えることになるから、産出量Yを安定化させるためには、

 

 金融政策によって利子率rを上昇させねばならない!!

 

、、、ということになる。

 

 このときもし政府が(Y=一定)としようとするなら、LM曲線
を上にシフトさせる必要があることになるから貨幣供給量を減らす
ことになるが、「産出量を安定化」というのは(Y≠一定)という
ことだろうから、政策Bを取るとバブルみたいになってしまう。
 よって答えはA(利子率は上昇)。

 

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2)LM曲線へのショックの場合
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 貨幣への需要が突然増えてLM曲線が上にシフトした。
 その結果産出量Yが減り、なおかつ利子率rは上がった。

 

 この場合にIS曲線を右にシフトさせることができれば産出量Y
の減少幅は小さくでき安定化できるわけだが、政策でそれをするの
は難しい(現在の日本の状況と同じ。利子率が低くてもI(r)も下
がっている)。

 

 だから政策Aではだめで、金融政策で利子率rを抑えてLM曲線
を下げる方がいいことになる。よって政策Bが答え。

 

 以上。

 

 

(つづく)
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         今回の・・・

 

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 問題6の答え、これで合ってるのかな?
 間違ってたら誰か教えて下されたし。

 

 IS曲線は、企業や家計や投資家などの「気分」や「将来観」で
投資関数I(r)自体が変わってしまう、、、というのがミソやな。
 経済には心理学も必要だ、、、ということかな?違うかな?

 

 

NEXT:IS−LMモデルと総需要曲線

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