トービンのqとその他の投資

トービンのqとその他の投資

トービンのqとその他の投資

■トービンのq
----------
 株式市場と投資のつながりに関して、トービンのqという比率が
ある。

 

      設置済みの資本の市場価値
 q = ―――――――――――――――
      設置済み資本の再取得費用

 

 トービンのqとは、上の式によって算出される指数で、企業はこ
の値に基づいて投資を決定すると考えた。

 

 これはつまり現在すでにある資本の市場価値と、これをもう一度
作る場合に必要となるコストとの比率であるが、qが1より大きい
と現在存在する資本の価値が、資本のを更新するコストより高い。

 

 この場合経営者は投資を増やす。というのも、株式市場は現在あ
る資本の価値を高く評価し、それが資本の取得費用より高いと判断
しているからである。

 

 つまり
(資本の所有価値)>(資本の購入価格)
ということだから、企業は資本を買い入れることによって自社の株
式の価値を高めることができるのだ。
(もちろん株式の価値を高めると言うことは、企業の評判や資金調
達コストを下げるので利益がある。)

 

 そしてトービンのqが1より小さくなると、経営者は逆に投資を
減らす。というのもq<1だと
(資本の所有価値)<(資本の購入価格)
であるから、資本が減価しても再投資する投資インセンティブはな
くなる。

 

 投資インセンティブの基準として、トービンのqは有用であり、
また株式市場と投資の関係を簡単に理解するのに役立つ。

 

 つまり資本の購入価格自体は比較的安定しているので、株式市場
での株価の変動がそのまま企業の投資マインドに影響するのと同様
に推移する。

 

 つまり株価が下がると企業の投資マインドが冷え込み、株価が上
がると投資マインドが上昇するというのが、トービンのqからわか
る。

 

----------
■資金調達制約
---------- 
 投資をすれば利潤が上がると分かっていても、投資をするための
資金がなければどうしようもない。

 

 しかし銀行から金を借りるにしても、株式市場から資金を調達す
るにしても、必要な額だけの金を借り入れることが可能だとは限ら
ない。

 

 新古典派モデルでは、資金の調達に関しても制約を前提としてい
ないが、明らかに資金の調達には制約がある。

 

 これはアービング・フィッシャーの制約式と同様に、企業の最適
投資の実現には障害となる。

 

 資金が調達できれば利益が上がると分かっていても、銀行が貸さ
ない・株式市場が冷え込んでいる、、、、中小企業などはもう塗炭
の苦しみ、、、

 

 企業が将来の見込みによって投資を決定できず、資金調達が困難
なために投資ができない場合、投資は冷え込む。

 

 

----------
■住宅投資
----------
 投資支出の三分類の二つ目は、住宅投資である。

 

 住宅価格は既存の住宅ストック市場の均衡によって決定され、住
宅投資は住宅価格によって決定される。

 

 住宅の相対価格Pk/P(他の財に対する住宅の価格)が上昇すれば、
企業は住宅建設に投資を行うので、供給関数は右上がりになる。

 

 その一方で住宅の相対価格が上昇すれば、住宅に対する需要は減
るので、需要曲線は右下がりになる。

 

Pk/P
 |  \  |        
 |   \ |       
 |    \|       
 |……………\
 |     |\
 |     | \
 |     |  \ 
 |     |   \
 ―――――――――――住宅需要
     住宅ストック

 

 住宅の供給は住宅建設にかかる期間だけかかるから、新規に住宅
建設を行う場合には、現在の住宅価格によって投資水準が決まる。

 

 つまりトービンのqと考え方は同様で、現在の住宅ストックの市
場価値と新規に建設する住宅のコストの比によって投資が決まる。

 

----------
■在庫投資
----------
 投資の三分類の三つ目は、在庫投資である。
 在庫投資はGDPの1%を占めるが、きわめて不安定な投資である。

 

 企業が在庫を持つには様々な動機があり、一つ目は「生産の平準
化」である。

 

 企業は生産を一定にする方が安上がりである。作りすぎた場合が
つまり在庫、、、ということになる。

 

 また在庫を持っていれば、サンプルとして店頭に並べたり、ユー
ザーに見せたりできるので販売促進に役立つ。

 

 機械が故障したり、不具合があった場合に在庫を持っていれば、
当座をしのぐこともできる。

 

 そして最後に在庫切れ回避である。在庫がないばっかりに、利益
を取り損なうことを「機会損失(チャンスロス)」と呼ぶが、その
損益を減らそうと言うことである。

 

----------
■在庫の加速度モデル
----------

 

 企業は在庫数量を現在の売上水準から決定する。

 

 年間100個売れるとするなら20個くらい、一万個なら1000個くらい
、、、などといった感じである。

 

 在庫ストックをN、産出高をY、パラメータをβとすると、
   N=βY
である。
 で、在庫投資Iがどのようなモノとなるかと考えると、在庫を増
やしたり減らしたりするのに関連するから、
   I=ΔN=βΔY
である。

 

 ΔYは産出高Yの加速度である(?)ので、これを在庫の加速度
モデルと呼ぶ。(←Yが経済の速度ということですかね?)

 

 経済が成長している場合、ΔYはプラスだから在庫投資は増える。

 

 一方で不況になると、商品が100個売れても在庫が残っているから
次に発注するのは90個だったり80個だったりする。

 

 毎月100個売れる(在庫を20個持つ)
  ↓
 月90個しか売れなくなる
  ↓
 在庫が10個増え、販売量も10個減るので、発注量が80個になる。
  ↓
 生産水準を10%以上縮小する
  ↓
 損益分岐点を越えてしまうと企業倒産。営業縮小となるので、在
庫投資はなくなってしまう。

 

NEXT:貨幣供給のモデル

スポンサードリンク

このエントリーをはてなブックマークに追加