ケインズ革命の評価

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 経済は元々安定的なモノか、それとも不安定な方が常態か?

 

 元々安定的なモノであれば、不安定を引き起こす要因を取り除く
努力のみをすればよい。それさえなければ元々安定的なモノだから
勝手に安定する。

 

 そして元々不安定なモノならば、常に舵取りを行わなければなら
ない。なぜなら不安定なんだから安定させる努力を常にしなければ
ならないからである。

 

 政府に経済を安定化する努力が必要だと考えるようになったのは、
比較的最近のことであり、大不況・大恐慌を経験してからのことで
ある。

 

 このとき大恐慌を防ぐ理論としてイギリスの経済学者ケインズの
有効需要についての理論が大きく採用された。

 

 ケインズは第一次世界大戦後の賠償金問題などを議論する会議に
イギリス代表として参加し、ドイツに膨大な賠償金を課すことはマ
ルクの暴落を招き、ひいては世界経済におおきな問題を引き起こす
として反対したが受け入れられずに帰国した。

 

 その後1929年アメリカに端を発した世界大恐慌が、アメリカのTVA
開発やドイツの拡張的財政、第二次世界大戦での大投資によってそ
れぞれの経済を回復させたという「経済政策的大事件」が生じ、政
府の積極的な有効需要創出が経済に与える影響が広く認識された結
果、世に言う「ケインズ政策」がどの国でも行われるようになり
「ケインズ革命」が起こった訳である。

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ケインズ革命は、ホントに役に立ったのか?

 

 だがしかしケインズ革命自体が経済の安定化に大きく寄与したか
どうかは、議論がある。

 

 ケインズの理論は不景気時に景気浮揚をもたらすにはとりあえず
有効だが、失業保険や雇用保険、健康保険やその他の福祉的政策が
経済をより安定的にしたのである、、という主張もある。

 

 データ的にはケインズ政策が意識的に用いられなかった時代と、
意識的に用いられる時代をGDPや失業率の変動という観点から比べ
た場合、明らかケインズ以降の方が安定している。

 

 がしかし、それはデータの取り方や計算方法・そしてその正確さ
に大きな違いがあるからそうなのであって、実際は大した効果はな
いんじゃないか、、、と言ってそれを計算してみた経済学者に、ク
リスチナ・ローマーがいる。

 

 彼女は現代のデータを以前のデータと同じような正確さ(荒さ)
で計算すると、昔と比べて殆ど安定性が増していないという発表を
行った。

 

 多くの経済学者は、ケインズ革命によって経済は安定化したが、
ほんのわずかだけ安定化しただけだ、、と考えている。

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