インサイダー=アウトサイダー問題

インサイダー=アウトサイダー問題

インサイダー=アウトサイダー問題

 

 労働組合問題は、企業に雇用されている組合員グループ(インサ
イダー)と失業している労働者グループ(アウトサイダー)との軋
轢(あつれき)を生む。

 

 というのも組合運動によって不自然に引き上げられた賃金や待遇
が、失業している労働者の再雇用に大きな障害となるからである。

 

 労組活動によって均衡水準より高い賃金を受け取っているインサ
イダーは、失業しているアウトサイダーの雇用機会を不当に奪って
いる可能性が高い。

 

 これは公的機関が自らに与えられた特権や独占力を利用して民間
企業の仕事を奪うというパターンにも共通するが、このようなイン
サイダー=アウトサイダー間の利害対立が解消されなければ、この
タイプの失業率の上昇は避けられない。 

 

 なぜなら労組の組織率の高さと失業率の高さの相関性は、このイ
ンサイダー=アウトサイダー間の利害対立が、上手く調整されてい
ないからかも知れないのだ。

 

 北欧諸国の例がそれを示唆する。

 

 というのも北欧諸国では労組の組織率が高いのにも関わらず失業
率が低いのだが、その原因としてこれらの国々の政府の介入政策が
上げられているからである。

 

 これらの国々では政府が労使の賃金交渉の過程で介入し、労働組
合などのインサイダー活動を押さえている。

 

 すなわち国家が政治的に賃金を「実質賃金が完全雇用を達成する
ような適正な均衡水準に近づくように」調整しているわけである。

 

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労働組合に対する政策と失業率の関係

 

 このように、政府が労働組合に対してアドバンテージを与えるか
どうかもその国の失業率に反映する。

 

 つまり政府が労組活動を一方的に支援する政策を採ると、実質賃
金は均衡水準より高くなりすぎて失業率を高めてしまうのだ。 

 

 1960年代までは同様の失業率で推移していたアメリカとカナダの
ケースが、それを裏付ける。

 

 当時はどちらの国においても労組組織率は30%前後であった。

 

 だがその後カナダ政府は労組と労働者を後押しする政策を積極的
に採り、一方アメリカ政府は採らなかった。

 

 その結果、労組の活動が活発化したカナダの実質賃金はアメリカ
に比べて約30%も上昇した、、、、が、その一方で失業率は過去
十年に渡ってカナダの方が2〜3%も高くなってしまったのだ。

 

 手厚い失業保険と労組の後押しが、多くの摩擦的失業者と待機失
業者を生みだした。

 

 政策的に労働組合の賃上げ運動を後押しすることが、結果的に失
業率を高めて労働者間の貧富の差を広げてしまうとは、、、

 

 経済を甘く見ては行けないという一つの例かも知れない。

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