消費者物価指数とGDPデフレータ

消費者物価指数とGDPデフレータ

消費者物価指数とGDPデフレータ

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■名目GDPと実質GDP
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{名目GDP}=Σ{2000年の財の価格}×{2000年の取引量}

 

{実質GDP}=Σ{1990年の財の価格}×{2000年の取引量}

 

 経済厚生(経済的な満足度)を示す値としてはリアルなGDPの
方が優れている。

 

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■GDPデフレーター
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{名目GDP}/{実質GDP}={デフレーター}

 

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■国民所得勘定
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 国民所得勘定では、GDPを四つの項目の支出として分類する。
 その四つとは、すなわち「消費C」「投資I」「政府購入G」
「純輸出NX」である。

 

 GDPをY(イールド:産出)で表すと、

 

Y=C + I + G + NX

 

となり、GDPに算入される支出はこの四項目のどれかに当てはめ
られる。

 

 

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        消費者物価指数とGDPデフレータ

 

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消費者物価指数(CPI)
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 名目GDPだとか実質GDPだとかGDPデフレータとかいった
指標のあり方が問題になる一つの理由は「インフレ」である。

 

 同じ一個のリンゴ、同じ一個のみかんが10年たっても同じ値段で
取り引きされているとは限らない。
 10年前の一万円と10年後の一万円ではその価値が違うのだ。

 

 だから実際にどのくらい価値が異なるのか示そうというのが、
「価格指数」である。

 

 価格指数には、消費者物価指数や卸売物価指数などの指数がある。

 

 消費者物価指数はその物ズバリ、消費者の買う財やサービスの価
格指数であり、卸売物価指数(アメリカでは「生産者物価指数」)
とは、企業や組織が購入する財やサービスの価格指数である。

 

 さて消費者物価指数は、普通の消費者が購入する一揃いの財の値
段で測られる。

 

 すなわち普通一般の消費者が一年間に購入する財やサービスの数
量を決定し、それらを購入するのに必要な金銭量を指数とするわけ
である。

 

 たとえばもし消費者が一年間にリンゴ五個とみかん二個だけを買
うとしよう(そんなわけはないけど)。そうすると消費者の支払う
価格は

 

 リンゴの価格×5+みかんの価格×2

 

となる。これを基準年と比べて比にするのがつまり消費者物価指数
CPIで、つまり

 

CPI=
    2000年のリンゴの価格×5+2000年のみかんの価格×2
   ―――――――――――――――――――――――――― 
    1990年のリンゴの価格×5+1990年のみかんの価格×2
である。

 

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ラスパイレス指数とパーシェ指数
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 さてここで前回登場したGDPデフレータについて思い出してみ
る。

 

 GDPデフレータとは、名目GDPを実質GDPで割ったモノで
あった。これを積の式に変換すると

 

{名目GDP}={実質GDP}×{GDPデフレーター}

 

であった。

 

 この式から実質GDPは基準年と比べた場合の「取り引きされた
財やサービスの増減」の成分であり、一方GDPデフレータは
「基準年と比べた物価の上昇」の成分であることがわかる。 

 

 となると物価に関してGDPデフレータとCPIという二つの指
数が存在することになる。これらは何が同じで何が異なるのだろう
か?

 

 第一の相違点は、デフレータがその年に取り引きされた全ての財
やサービスを対象にしているのに対し、CPIは消費者によって購
入された財やサービスのみを対象にしていることである。

 

 すなわち企業が購入した財やサービスはデフレータには反映され
るけれども、CPIには反映されないわけである。

 

 第二の相違点は、GDPデフレータは「国内で生産された財やサ
ービス」を対象にしているが、CPIはどこの国で生産された財や
サービスでも、その国の消費者によって購入されれば対象になる。

 

 つまり輸入車の価格は日本のデフレータには影響を及ぼさないが、
CPIには影響を及ぼす。

 

 第三の相違点は、CPIは「固定的なウエイト」を用い、GDP
デフレータは「可変的なウエイト」を用いていることである。

 

 つまりCPIは問題にしている年も基準年も対象としている財や
サービスの数量は同じであるので、たとえば1993年のように米が大
不作になって米の価格が暴騰しても、消費者は米を普通の年と同じ
だけ購入するモノとして計算されるわけである。

 

 もちろん価格が暴騰すれば消費者はその財やサービスを購入する
のをためらったり量を控えたりするわけだから、消費者物価指数は
思ったほど正確には物価状況を反映していないのである。

 

 このような固定的なバスケットを用いる価格指数を特に
「ラスパイレス指数」
という。

 

 ラスパイレス指数は今考えたように、物価の上昇を過大に評価し
てしまう。

 

 つまりこのやり方では消費者の代替行動、すなわちあるモノの値
段が上がればそのモノを買う量を減らし、代わりに別の安いモノを
たくさん買うという行動が加味されていないから、必要な商品はい
くら高くても買うものだという仮定の下に計算されているのである。

 

 一方GDPデフレータの方はと言うと、可変バスケットを計算の
対象としている。

 

 このような可変バスケットを用いる価格指数を特に
「パーシェ指数」
という。

 

 パーシェ指数はラスパイレス指数のように消費者の代替行動を無
視しないから、物価上昇を過大に評価しない。

 

 だがそうだからといってラスパイレス指数よりパーシェ指数の方
が意味があるかと言えば、そうでもない。

 

 なぜなら買いたいモノが高いから代わりのモノを購入するという
のは、消費者の満足という観点からはマイナスなのである。

 

 すなわちそれは「効用の減少」を意味するから、パーシェ指数で
あるGDPデフレータは物価の上昇によって消費者が被る打撃を過
少に評価してしまうことになる。

 

 結局のところ価格指標としてどちらが優れているかということは
ない。

 

 価格指標としてCPIを用いるか、それともGDPデフレータを
用いるかは、実行する政策や対象の性質によるのである。

 

 公共プログラムや民間契約(たとえば労働者の最低賃金決定など)
に関する問題では、CPIを使って議論することが多い。

 

 

(次回は失業率の予定)
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        みなさまからのおたより

 

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岐阜の加藤さんから
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 実を言うと、僕もマンキューはかなり注目しています。
「マクロ経済学1」と「マクロ経済学2」(応用編)は、かなり有
名なようですが、僕はそれよりも易しいと思われる「マクロ経済学
の原理」と「ミクロ経済学の原理」(いずれもDryden、英語)
を辞書を片手に翻訳しながら読んでいます。「マクロ」はほぼ読破
しましたが、「ミクロ」はまだ第16章の途中で、着手から14ヶ
月経過しますが、あと3ヶ月くらいかかりそうです。
 何と言っても、学生ではありませんから、朝1時間と夜寝る前に
1時間ぐらい英文を読んでます。
 これを機会にマンキューの経済学について、メールを交換できる
と嬉しいのですが・・・。
 若い女の子でなくて、ゴメンね!僕も、経済学に関するホームペ

ージを作りたいと思っています。しかし、いかんせん技術が伴いま
せん。文字中心のホームページになりそうで、それとレベルを高く
するのを意識しすぎて断念しています。
 恥も外聞も捨てないと駄目かもね。

 

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(^_^;)

 

こんにちわ。みちもとです。メール有り難う

 

>  実を言うと、僕もマンキューはかなり注目しています。

 

恥ずかしながらボクは全然知りませんでした(*^_^*)。
「組織の経済学を読むのでR!」でメルマガ読者の皆様にお薦めの
経済学の本のアンケートをお願いして初めて知ったような有様です。

 

 アメリカの大学院に行っている方からもの凄く読みやすいと言う
メールを頂いたので、それなら次に読んでみようと言うことで今回
これを始めました。

 

> 「マクロ」はほぼ読破しましたが、「ミクロ」はまだ第16章の
途中で、着手から14ヶ月経過しますが、あと3ヶ月くらいかかり
そうです。

 

すごいですねー。ボクなんか日本語版の組織の経済学を読むのに、
13ヶ月もかかったというのに。

 

>  これを機会にマンキューの経済学について、メールを交換でき
ると嬉しいのですが・・・。

 

 このメルマガに投稿という形なら結構です。ただ個人的にメール
の交換というのは申し訳ないですが遠慮させていただきます。
 というのもお返事するのが結構面倒ですし、またメール交換は結
構陰湿になってしまいますので(「貧乏人の正体」の時にそう言う
ことがありました)。

 

NEXT:失業率とオークンの法則

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