ラージ・オープン・エコノミー

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 さあ、いよいよ長期分析は「大国開放経済」です。

 

 大国開放経済というのは、その動向が世界金利 r* を変化させる
ような大きな影響力を持つ経済という意味で、アメリカとか日本と
かEUなどという経済を考えてもらえばいいでしょう。

 

 もちろん「大国」というのはラージ・オープン・エコノミーに日
本語を充てただけなので、別に国でなくても構わないんじゃないか
と思います(ただし貯蓄Sや税金Tなどが常に協調していれば)。

 

 例によってまず、おさらいからです。

 

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■国民所得勘定など(おさらい)
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 Y=C+I+G+NX
 国内の実質利子率:r
 世界の実質利子率:r*
 実質為替レート:ε(イプシロン)
 純輸出:NX(ネット・エクスポート)
 対外純投資NFI
 国民貯蓄:S=Y−C−G
       よってNX=S−I
 実質為替レートεが上がると、海外の財やサービスが安くなるの
で輸入が増える(純輸出NXが減る)のでNXとεは逆相関。
 等々、、、、

 

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       ラージ・オープン・エコノミー

 

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■実質利子率rと対外純投資NFI
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 閉鎖経済ではNX=0であることから、実質利子率rはS=Iと
なるような水準で決定される。

 

<<参考>>
 r(利子率)
  ↑      
 | \ → \    /S=S(r)
 |  \   \  /
r'| \   \/
  | \ /\
↑|     \/  \
 r|     /\   \
|     /  \   \I'=I(r)
 |        I=I(r) 
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
        S → S'

 

 

 一方小国開放経済などのモデルでは、実質利子率rは世界利子率
r*で固定され(r*は世界貯蓄Swと世界投資Iwが釣り合う水準で決
まる)ていた。

 

 

 しかしこれから考える大国開放経済では、利子率rはどちらでも
なく「その中間をウロウロするモノ」だと考えられる。

 

 というのもたとえば経済大国アメリカの金利を考えた場合、アメ
リカの実質利子率raが、世界利子率r*と同じではないからである。

 

 しかしではアメリカの実質金利raがアメリカ国内の貯蓄と投資が
バランスする水準、すなわちSa=Iaとなる水準に近いかというと、
そうでもない。

 

 アメリカは国内貯蓄Saより国内の資金需要Iaの方がたいてい大
きいので、実質金利raは高くなる傾向にあるが、それでもSa=Ia
となる水準よりは低くなる。

 

 開放経済だから海外からアメリカ国内へ流入する資金が大量にあ
り、その分金利水準は低くなっているのだ(といっても世界金利よ
りは高くなるわけだが)。

 

 つまり大国開放経済モデルではまず、利子率rと対外純投資NFI
(ネット・フォーリンインベスト?)の関係を重視しなければなら
ない。

 

 大ざっぱに言うと大国経済の利子率rが世界利子率r*より高けれ
ば、資金が海外から集まってきてNFIはマイナスになり、逆にr
がr*より低ければ資金は海外に流出する(つまりNFIがプラス)。

 

 すなわち対外純投資NFIは金利rの関数である。
 これをNFI(r) と書くことにする。

 

r(実質金利)
 ↑
|   \  
|    \ 
|     \
r* |---------- \
|      ・\
|      ・ \
|      ・  \
|      ・   \
 ――――――――――――→ NFI(対外純投資)
  (資金流入) 0 (資金流出)

 

 

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■貸付資金市場と外為市場
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 閉鎖経済において国民貯蓄Sは全て国内投資に回されるから、式
としてはS=Iである。

 

 では開放経済における国民貯蓄Sはどこへ行く? と考えれば、
国内投資Iと対外純投資NFIに行く、、ということになり、式で
表せば、
 S=I+NFI
ということになる。

 

 で、このSとIとNFIが何によって決まるかと言えば、国民貯
蓄SはS=Y−C−Gだから、国内総生産GDPと消費C=C(Y−
T)と政府購入Gによって決まり、一方IとNFIは実質利子率rに
よって決まる。

 

 国民貯蓄はこれまで何度も出てきたように「政府の政策によって
決まってしまう」ものだから、ある期間においては一定である。

 

 となると、大国開放経済における実質利子率rは、下のグラフの
ような感じで決まることになる。

 

 

 ↑
 |  \   |S(一定)
 |   \  |
 |    \ |
 |     \|
r|---------- |
 |      |\
 |      | \I(r)+NFI(r)
 |      |  \
 |      |   \
0 ―――――――――――――――→S、I+NFI

 

 

※I(r)+NFI(r)が右下がりなのは、実質金利が低いほど儲けが
 でる投資が増えるからである。

 

 そしてこの時この開放経済の実質為替レートがどうなっているか
を考えると、NX=S−I=NFIという関係から、

 

  NX=NFI(r)

 

となり、下のグラフのように実質為替レートεが決まることになる。

 

 ↑
 |  \   |NFI(r)
 |   \  |
 |    \ |
 |     \|
ε|---------- |
 |      |\
 |      | \ NX(ε)
 |      |  \
 |      |   \
0 ―――――――――――――――→NX
       NFI(r)

 

 実質為替レートの変動は名目為替レートの変動につながる。

 

 

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■今週のまとめ
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 大国開放経済の実質利子率は、S=I(r)+NFI(r)となるr
に決まる。

 

 実質為替レートεは、NX=S−I=NFIという関係から、
NX(ε)=NFI(r) となるεに決まる。

 

 

(つづく)
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          今週の・・・

 

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 いつだったか日経新聞に

 

「アメリカに対する日本の影響力が弱まったのは、アメリカが国債
に依存しなくてもよくなってきたからである。日本の投資家は従来
から国債ばかり買ってきて、アメリカ企業にはあまり投資してこな
かったから、国債を発行して資金をアメリカに引き寄せる必要がな
くなれば日本(の投資家)に対して配慮する必要が無くなる」

 

てな感じの記事が載っていましたね。

 

NEXT:大国開放経済と政策

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