貨幣供給のモデル 部分準備制度と信用創造

貨幣供給のモデル 部分準備制度と信用創造

100%準備制度

 

 貨幣はあるが銀行のない世界では、貨幣の供給量は世間にある現
金の総合計に等しい。ここでは話を簡単にするため、その総合計を
1000ドルであると仮定する。

 

 そこで銀行というモノができる。

 

 銀行は人々から現金を預かって貸し出すわけであるが、預かった
金額から貸し出した金額を引いた部分を「リザーブ(準備)」と呼
ぶ。

 

 通常の銀行はこのリザーブ分の現金を中央銀行に預ける。たとえ
ば日本の銀行は日本銀行に余分な現金を預けるが、ここではそうい
う中央銀行にリザーブ分を預けないこととする。

 

 すなわち世間から集めた預金を100%リザーブとして持つので、こ
れを特に「100%準備制度」と呼ぶ。

 

 ここで世間にある1000ドルがA銀行に預金されたとすると、銀行
のバランスシート(賃借対照表)は以下のようになる。
--------------------------
※A銀行のバランス・シート:
【資産】準備 1000ドル
【負債】預金 1000ドル
--------------------------
 もしここで銀行が貨幣を預かるだけであれば、貨幣の供給量は銀
行にある1000ドルだけであり、何の変化もない。


部分準備制度と信用創造

 

 次に銀行がリザーブのうちの何割かの現金を貸し出して、その対
価の利子を受け取るとする。

 

 もちろん銀行は預金を預けた人々に対し、常に現金を用意して引
き出しに備えなければならないから、いくら利子が受け取れるから
と言って、預金1000ドル全部を誰かに貸し出してしまうわけには行
かない。
 預金のうちの一定割合をリザーブとして保有しておかなければな
らない。

 

 このように預り金のうちの一部のみをリザーブとして持つ制度を
「部分準備制度」と呼ぶが、この制度によって銀行は貨幣を生み出
す。これを特に「信用創造」と呼ぶ。

 

 リザーブ/デポジット(準備/預金)比率をたとえば20%とす
ると、A銀行のバランス・シートは以下のようになる。
---------------------------
A銀行のバランスシート(2)
【資産】準備 200ドル
    貸出 800ドル
【負債】預金 1,000ドル
---------------------------
 この貸し出した800ドルが、別のB銀行に預金として預けられた
とし、B銀行がまた20%の率で準備を行うとすると
---------------------------
B銀行のバランスシート
【資産】準備 160ドル
    貸出 640ドル
【負債】預金 800ドル
---------------------------

となる。

 

 そうすると世間にある貨幣供給量は1,000ドル+800ドル+640ドル
ということになり、部分準備制度によって貨幣が生み出されたと言
うことになる。

 

 この場合の貨幣供給量は、総現金量に等比級数の和を掛けたモノ
になるから、
 1,000×{1+(1−0.2)+(1−0.2)^2+・・・ }
=1,000×(1/0.2)
=5,000ドル
ということになる。

 

 信用創造を行うことができるというのがつまり、「銀行」と他の
金融機関との違いである。

 

 銀行以外の金融機関は、預かった金を他に貸すという「金融仲介」
を行うのみで、信用創造は行わない。

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