黄金律定常状態への移行

黄金律定常状態への移行

黄金律定常状態への移行

 

 資本蓄積が定常状態であったとしても、「黄金律定常状態」であ
るとは限らない。

 

 経済がある定常状態に達しているが黄金律定常状態でない場合に、
貯蓄率sを変化させた場合、その影響はどうなるだろうか?

 

 それにはまず場合分けをしなければならない。すなわち

 

1)黄金律状態より資本が多い場合からの出発

 

2)黄金律状態より資本が少ない場合からの出発

 

である。

 

黄金律状態より資本が多い場合からの出発

 

 

 黄金律状態より一人当たり資本ストックが大きい場合、政策決定
者は「資本ストックを減らすために、貯蓄率sの減少」させなけれ
ばならないことになる。

 

 この政策が成功し、貯蓄率sが黄金律水準を達成する水準、すな
わち s*gold になったとする。

 

s → s*gold (低下)

 

 y=c+iで、i=sy、だから、貯蓄率sの低下は、すぐに投
資iの低下・消費yの増大につながることになる。

 

 投資iが低下すると言うことは、一人当たり資本ストックkがk*
より外れると言うことである。というのも減価償却率δは変化しな
いわけであるから、定常状態のΔk=i−δk=0を満たさなくな
るわけである。

 

 ここからkは新しい定常状態である k*gold へと移行していく
わけであるが、この時一人当たり産出量yは減少していく。

 

 なぜなら元々一人当たり資本ストックが黄金律より高い水準にあ
るわけだから、それが下がるのは当たり前である。

 

 ここで注目すべき事は

 

「一人当たり産出量は減るが、消費は以前より高い水準でずっと経
過する」

 

と言うことである。

 

 だから一人当たり資本ストックが黄金律水準より高い場合には、
貯蓄(=投資)を減少させることが望ましい政策となる。

 


黄金律水準より少ない資本からの出発

 

 しかし経済が黄金律水準より低い資本から出発する場合には、
「痛み」を伴うこととなる。

 

 というのもこの場合、貯蓄率sを上げねばならないが、それは
消費iを減らさねばならないからであるからである。

 

 貯蓄率sを政策的に s*gold に引き上げると、その分消費を減
らさねばならなくなる。

 

 このとき経済は定常状態を外れ新たな定常状態 k*gold へ向か
うこととなるが、その途中では「消費が抑えられる」。

 

 将来の消費水準を高めるために、今日明日の消費を抑えねばなら
ない、、、

 

 これは「現在世代」の犠牲のもとに「将来世代」の幸福を創ろう
ということであるから、政治的には極めて難しい判断になる。

 

 つまり「支払い者」と「便益受取者」が異なるのだ。

 

 貯蓄率sを s*gold に引き上げられるかどうかは、新しい定常
状態に移行が完了する所要時間の長さや、国民の現在と将来に対す
る認識に依存することだろう。

 

 

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