経済学上の利潤・会計上の利潤

経済学上の利潤・会計上の利潤

経済学上の利潤・会計上の利潤

 

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           前回のおさらい

 

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■MPL(労働の限界生産力)逓減
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 労働量を一単位増やしたとき生産量が何単位増加するかという数
値の事を「労働の限界生産力MPL」と呼ぶ。

 

 そして大抵の生産関数は、労働の限界生産力逓減の法則に当ては
まる。つまり生産機械などの量を固定しておいて労働者や労働時間
だけを増やしてみても、労働者が増えるほどには生産量が増えない
のである。だから企業は市場価格をにらみながら、一番利潤が大き
くなる生産量と労働投入量を選ぶことになる。

 

 そこで労働量を一単位増やしたときの利潤の増分を考えると、

 

  Δ利潤 = Δ収入 − Δ費用 
      = P×ΔY − W×1
      =(P×MPL)− W    ・・・(*)

 

だから、企業がとことんまで利潤を追求するとすると、労働量の追
加はΔ利潤=0となるところまで行われることになるから、(*)の式
より
  P×MPL = W
となり、さらにこの式を変形すると
    MPL = W/P
となる。

 

 このW/Pを特に「実質賃金率(リアル・ウェッジ)」と呼ぶのだ
が、これの便利なところは労働者の賃金を「作った製品の個数(=
産出量)」で表せるということである。

 

 つまり労働はたいてい限界生産力が逓減するからMPLはY−L
グラフに書き込むと右下がりになるが、この時企業の利潤が最大化
するW/Pを書き込むと、最適な労働投入量が決まるのだ!
(なぜならMPL=W/Pだから)

 

Y(産出量)
  ↑
 |   \  
 |    \ 
 |     \
W/P|---------- \
 |      ・\
 |      ・ \
 |      ・  \MPL
 |      ・   \
0 ―――――――――――――――→L(労働量)
         L'

 

 つまりMPL曲線は、企業の労働需要曲線だったのである!

 

 同様の理屈で資本の限界生産力MPKも決定される。
 すなわち企業はMPK=R/Pまで資本をレンタルする事になる。
 R/Pは「資本の実質レンタル料」と呼ばれる。  

 

 

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       経済学上の利潤・会計上の利潤

 

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 企業は利潤を最大化するためにMPL=W/Pとなる点まで労働
力Lを投入する。そして利潤を最大化するためにMPK=R/Pと
なる点まで資本を借り入れる。

 

 この時の産出量をYとすると、生産物で測った利潤は
       Y−MPL・L−MPK・K
となるが、これを特に
「経済学上の利潤(エコノミック・プロフィット:EP)」
とよぶ。

 

 この式を書き換えると
Y=(MPL・L)+(MPK・K)+EP
となるから、
「総所得」=「労働への報酬」+「資本への報酬」+「EP」
ということになるが、ここでもし生産関数に関して「規模に関する
収穫不変の性質」を仮定すると、経済学上の利潤EPは必ずゼロに
なる。

 

 つまり「モノの値段は労働報酬と資本報酬の合計で表せる!」と
言うことになる。

 

 これは生産関数zY=F(zK、zL)をzで微分してz=1を
代入した式を見れば明らかだ。つまり
 Y=F(K、L)= MPK・K + MPL・L
である(オイラーの定理)。

 

 しかしここで一つ疑問が生じる。というのもこれでは企業の利益
がゼロになるから、企業の生産インセンティブはどこからくるのだ
ろうか、、、ということである。

 

 ここで前回の号の最初に書いた「資本は家計からレンタルされる
とする」という仮定の意味がわかってくる。

 

 というのもここまで企業は資本(つまり生産や商売に使う土地建
物や機械)を全部借りるモノだとして考えてきていたが、現実の多
くの企業は資本を「所有」しているわけである。

 

 つまり企業は生産者であると同時に資本の提供者であるから、当
然資本に対する報酬MPK・Kのいくらかを手に入れることができ
るのだ!

 

 だから世間一般でいう「利潤」を特に「会計上の利潤(AP:ア
カウンティング・プロフィット)」と呼ぶとすると、

 

 AP = EP + MPK・K

 

なのである。

 

 そういうわけだから「規模による収穫一定、利潤の最大化、競争」
という仮定の下でEP=0でも、「利潤」は生じるわけである。

 

 つまり国民所得における利潤は殆ど資本に対する報酬であり、

 

「国民所得(総産出)は、限界生産力に応じて労働報酬と資本報酬
に分配される!」

 

のである。

 

 

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          財やサービスの需要

 

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 ここまでの話を少しまとめておくと、

 

1)生産水準を決定するのは、存在する生産要素(資本Kおよび労
 働量L)の量と、生産関数(Y=F(K、L))である。
  時間が経って資本や労働の量が増えれば産出量は増えるし、生
 産技術が向上して利用可能な技術が改善されれば産出量も増える。

 

2)産出した所得の分配は、限界生産力に応じて労働報酬MPL・L
 と資本報酬MPK・Kに分配される。

 

ということである。

 

 さて次に考えるのは、生産によって得られた産出物がどのように
使われるか、、、、である。

 

 前述したとおりGDPは「消費C」「投資I」「政府購入G」
「純輸出NX」という四つの構成要素からなっている。

 

 現在議論している経済は、他国との貿易が無視できる「閉じた経
済(閉鎖経済)」でNXはゼロであるから、国民所得勘定の恒等式は

 

   Y=C+I+G

 

である。この三つの相関について少し考えよう。

 

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■消費C(ConsumeだからC)
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 消費の主体は「家計」である。
 家計は経済の総産出Yを労働報酬と資本報酬という形で「全部」
受け取るが、このうち政府にTだけの税金を支払う。

 

 収入Yから税金Tを引いた金額がすなわち「可処分所得(ディス
ポーザブル・インカム)」であるが、家計はこの可処分所得を「消
費」と「貯蓄」に振り分ける。

 

 とすると消費関数はC=C(Y−T)と定義できる。
 可処分所得とは「消費してもよい所得」であるから、消費関数は
基本的に右上がりになる。

 

 C(消費)
  ↑         
  |       /C=C(Y−T)
  |      /
  |     /
  |--------/
  |   / 
  |  /  
  | /   
  |/   
 0 ―――――――――――→可処分所得Y−T

 

 

 そして消費関数C=C(Y−T)の傾きがMPCつまり
「限界消費性向(マージナル・プロペンシティ・トゥ・コンシュー
ム)」
である。

 

 限界消費性向は、所得が一単位増えたときに消費が何単位増加す
るかという指標であり、C=C(Y−T)の微分係数である。

 

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■投資I(InvestだからI)
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 企業も家計も投資を行う。

 

 投資は利子率に大きな影響を受ける。というのももし利回りが5%
の投資機会があったとしても、銀行に預ければ10%の利子が付く場合
はこの投資には金が回らないのが普通だからである。

 

 すなわち
「利子率が高いほど収益性のある投資計画は少なくなる」。

 

 投資は利子率rの関数だから、I=I(r)と定義される。

 

 r(利子率)
  ↑
 |   \  
 |    \ 
 |     \
  |---------- \
 |      ・\
 |      ・ \
 |      ・  \I=I(r)
 |      ・   \
0 ―――――――――――――――→I(投資)

 

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■政府購入G(GorvenmentのG)
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 政府は道路や橋や公園、学校や図書館などの公共物を建設し、公
務員を雇って公共サービスを行う。このための支出が政府購入G
である。

 

 ただし福祉や社会保障のための支出は政府購入には含まれない。
というのも「何も買わないから」である。

 

 福祉などの支出はお金を政府から福祉の対象者に「移転」した
だけであり、それは対象者の「所得」なのである。よってこれは
政府購入には入らない。消費になる。

 

 でここで税金Tとの関連だが、均衡財政では当然G=Tとなる。
 赤字財政ならG>Tであり、黒字財政ならG>Tである。

 

 だがこれらを決めるのは「効率」ではなく「政治」であるから、
これらの数値は経済システムの外部で決まる「外生変数」なのであ
る。
 一方CやIは「内生変数」である。

 

 外生変数が内生変数にどう影響を及ぼすか、次の項で考える。

 

NEXT:均衡と利子率

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