硝酸態窒素

ヨーロッパで赤ん坊がバタバタと倒れた原因は、地下水の硝酸態窒素にあった。

 

飲み水に硝酸態窒素が混入したために、赤ん坊が青くなって死んだりしたわけだ。

 

ブルーベビー症という別名もあるが硝酸態窒素の濃度が高い水を飲むと、体内のあちこちが酸欠状態になって紫色になる。

 

硝酸態窒素が体内で亜硝酸などに変わり、そのせいで身体の臓器が傷み、死に至るケースもあるという。

 

大人の場合はそれほど問題はない。

 

というのも硝酸態窒素を含んだ水を飲んでも、野菜などに含まれるビタミンで中和されるので多少のことでは問題は起こらない。

 

しかし乳幼児の場合はそう言うわけに行かない。

 

なぜなら肝臓や腎臓がまだしっかりしていないので、危険な亜硝酸が処理されず、血液中の硝酸濃度が上がったままになってしまうわけである。

 

乳幼児の粉ミルクなども、ミネラルウオーターでミルクを作るとミネラル過剰になって腎臓が傷むと言うが、アレと同じで赤ん坊にとって硝酸態窒素は毒なのだ。

 

因みにボディービルダー界などでは、プロテイン(タンパク質)をとりすぎるとタンパク質中の窒素を排出するために腎臓が酷使されて傷むというのは常識らしい。

 

なので厳しく上限を守ってプロテインを摂っているらしいが、人間の健康にとって窒素コントロールは非常に大事なのだ。

 



ヨーロッパの農家に対する見方が変わった

硝酸態窒素によるメトヘモグロビン血症の例は、日本でも報告されていているようだが、井戸水を飲んでいる地域が少なくて、総数はせいぜい50件くらいとかなり少ない。

 

日本では江戸時代の初期から農業用や飲料用として、川の水を引くという事業が各地で行われていて、江戸の街にも玉川兄弟が造った玉川上水などから水が供給されていた。

 

ところがヨーロッパでは産業革命以降も、地下水をずっと飲んでいたから大事になった。

 

というのもヨーロッパの河川というのは長さが半端じゃなくて、水があまりきれいでないのだ。

 

日本のように雨が降ったらきれいな水のまま、数日後には海に達するなんてことはない。

 

川の水は何週間も何ヶ月もかかって海まで流れ、たくさんの国々の間を縫って流れているから、土砂や糞尿が混じって河の水はたいてい黄色か黄土色なのである。

 

川の水は上流で汚されて汚れに汚れまくっているし、それにペストなどといった伝染病も怖いから、ヨーロッパではずっと地下水を汲んで飲み水にしていた。

 

河の水なんて汚れていてもいい。

 

地下水さえきれいならそれでいい。

 

それがそれまでのヨーロッパ人の汚染感覚だったらしい。

 

ところがその飲み水である地下水が硝酸態窒素で汚染され、内臓の機能がまだ未熟な赤ん坊がバタバタと倒れてしまい、ヨーロッパは大騒ぎになったわけである。

 

そしてその窒素の発生源を調べてみると、農業で使われる化学肥料や、家畜の糞尿だったから、ヨーロッパの農家に対する視線は厳しくなった。