新大陸からの「新作物」の衝撃

コロンブスの新大陸発見によってアメリカ大陸からもたらされた「新作物」は、ヨーロッパの農業に大きな影響を与えた。

 

ジャガイモ、トマト、トウモロコシ、トウガラシ、サツマイモ等といった作物は、実は全てアメリカ大陸からもたらされた新品種であった。

 

だがその生産量は少なく、結局庶民はライ麦パンや塩漬け肉やベーコンの切れ端と野菜くずを、チーズや乳製品で煮たもの、つまりポタージュ・スープやクリーム・シチューの原型を主食として毎日の糧としていたらしい。

 

だから今でもスープは「飲む」と言わず「食べる」と言い、イタリア料理などでは前菜を「パスタにしますか、それともスープにしますか?」という具合にパスタとスープを同列に扱うわけである。

 

だが新大陸から渡来した新作物の衝撃は、そういう毎日の食生活すら変えてしまうようなとんでもなく大きなモノであったようだ。

 

というのもトウモロコシやジャガイモなどという作物は、さほど肥沃な土地でなくても簡単に栽培ができる作物だったのだ。

 


極端な話、トウモロコシを蒔けば、必ずと言っていいほど実がなった。

 

ジャガイモも少ない肥料ですぐに数が増えた。

 

家庭菜園などでトウモロコシを栽培した人もいるだろうが、あんなに楽に栽培できる穀物も珍しい。

 

大した世話もせずにぐんぐん育つ。

 

もちろんトウモロコシも穀物だから、大量生産すればかなりの地力(特にカルシウムなどのミネラル)を消費するが、それでも小麦や米などと比べればかなり負担の軽い作物である。

 

これらの食品を除いた西欧の家庭料理を想像してみるといい。

 

そうすれば「ヨーロッパの人々はそれまで一体何を食べていたんだろう」なんて疑問すら湧いてくる。

 

もちろん新大陸発見以前にはニンジンもあったしニンニクもあった。

 

小麦もあったし小麦が栽培できない寒冷地では、ライ麦やエン麦といった穀物も栽培されていた。

 

伝統的にヤギや羊などからとれる乳製品も食事に利用していた。

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