先進国の農業・環境事情。
農業は今、深刻な環境破壊を引き起こしている。
深刻な環境破壊は人間の健康も破壊するから実は大問題である。
ではなぜ農業が深刻な環境破壊を引き起こすのか。
まずは先進国の場合である。
先進国では農業は「集約的」に行われる。
「集約的農業」とは一つの場所で農業資材、つまり農薬や肥料などを大量投入して大量に生産を行うというやり方である。
穀物だったら十分な水を引き農地に肥料や農薬をどんどん投入して、そしてたくさん作物を収穫する。
畜産だったら舎飼いつまり小屋の中に牛や豚を飼い、穀物などの濃厚飼料を与えて早く太らせたり乳の出をよくしたりして食肉やミルクの大量生産を行うというやり方である。
集約的農業とは言ってみれば「農業を工業的におこなう」ということである。
もちろんただ灌漑用水や排水設備を整えただけでは作物は育たない。
肥料をやれば直ちに収穫が増え、儲かるというモノでもない。
確かに水を十分に与え肥料を施せば、植物は大きく育つ。
だがしかし肥料をやりすぎるとそれだけ病気になりやすくなるし、大きく育ってたくさん稲穂や実を付けるとそれだけ風や台風の影響を受けやすくなり、すぐに倒伏することになる。
倒伏するとはつまり「倒れたり折れたりして腐る」という事で、そういうか所が一か所でもあると、そこから病気や害虫が発生し、田畑中に被害が広がったりするのだ。
肥料や農薬を増やせばよいと言うものでもない
ボクの通う大学の農場でも毎年、友人のオオニシ君が様々な品種の稲を植えて育てていたが、台風なんかが来ると背丈の高い品種は見事に倒伏し倒れていた。
倒れないように網の目のようにロープを張っているにも関わらず、やっぱりバッサリ倒れていた。
だから肥料をたくさん施しても背丈があまり高くならず、たくさん実るような作物品種を創り出し、それを導入してジャンジャン肥料を施すということになる。
だがしかし、ジャンジャン肥料を撒けば大きくなるのは作物だけではない。
当然雑草も大きくなるし害虫もウジャウジャ湧いてくる。
何だかんだと病気も増える。
化学肥料なんて言うモノを外部から持ってきて投入し、人間に都合の良い植物ばかり育てようとするわけだから、その結果その土地の生態系を大きく崩し、思わぬ病気や害虫ばかり大発生したりする。
そんなモノが大発生して作物をダメにされてはたまらないから、今度は農薬という化学物質をジャンジャン撒くことになる。
作物を栽培する前にはまず土壌の消毒剤を撒く。
そして雑草がまだ生えていないウチから予防にと除草剤を撒き、ウンカのウの字も現れないうちから殺虫剤をばらまく。
そう言う風に効き目の強い消毒剤や除草剤や殺虫剤、その他の化学資材などを田畑にどんどん投入するわけである。
ジャンジャン播いて、ジャンジャン撒いて、ジャンジャン殺す。
そうして最後に途上国の何倍モノ反収を得る。
それがつまり先進国の「集約的農業」のやり方なのである。