四大文明のうち三つまでが、潰れた原因は農業?
農業が文明を衰退させるなんてことがなぜ起こるのだろう?その第一の原因は「穀物と牧畜による森林破壊」である。
確かに穀物というのは魅力的な作物なのである。
籾のままなら何年も何十年も保存が利くし、醸せば酒や酢もできる。
手間や時間はかかるが、比較的大量に作れて味もそこそこ良い。
特に東・東南アジアで大規模に栽培される「稲」は、近代以前にすでに播種量の三十倍もの収穫が望める非常に魅力的な作物であった。
播種量の三十倍とは、春に一粒播くと秋には三十粒収穫できるということだ。
稲はかんがい用水さえなんとかうまく工面できれば連作がきき、しかも病虫害の心配も他の畑作作物と比べて格段に小さい便利な穀物であったのだ。
それは一つの土地で三年に一度、あるいは五年に一度しか穀物が収穫できず、しかも一粒のモミがせいぜい五粒とか七粒にしか増えない小麦と比べ破格の作物だったのだ。
保存性の高さから兵糧としての価値もあり、日本では長らく貨幣の代わりの財としても用いられた。
だから米を作ることができる地域では、山を切り開いて田んぼにした。
斜面を階段状に切り開き、棚田や千枚田にしてまでも米が大規模に生産された。
もちろん平地の森は殆ど全て切り倒され田んぼになった。
そうして日本や東南アジアは田んぼだらけの国になったのだ。