途上国の農業事情
先進国の農業とは集約的農業だった。
集約的農業とは、多収穫品種と大量の資材つまり肥料や農薬を使って一つの土地からジャンジャン作物を収穫する。
家畜を舎飼いで飼い、穀物などの濃厚飼料を与えてジャンジャン肉やタマゴや乳製品などを大量生産する。
このような農業は、確かに先進国の食糧供給を安定化させたが、その一方で農薬や殺虫剤などの過剰使用によって農地の地力を大きく損なったり、周辺の生態系を大きく狂わせたりした。
また土地や作物がが吸収できないほど過剰に肥料を施し、大量に飼っている家畜の糞尿の処理を疎かにした結果、河川や湖沼の富栄養化問題や地下水の硝酸態窒素汚染を招くことになった。
では先進国ほど農薬や肥料をばらまかない途上国の農業事情はどうかというと、こちらも実はあんまり変わりがない。
なぜなら途上国援助だとかODAなんていって、先進国からどんどん肥料や農薬が送られてくるからである。
だがしかし途上国の場合は先進国よりもっと深刻な問題を発生させた。
と言うのも先進国からの様々な援助によって穀物の生産が増えた結果、人口増加が大加速し結果的にまた食糧不足に陥る羽目になってしまったからである。
そうして人口が増えてこれから食糧をさらに増産しようと思った時には、逆に単収(単位当たりの収穫量・反収とも書く)がどんどん減ってきはじめたからである。
焼き畑農業がなぜできたのか?
たとえば今、AKB48プロジェクトの海外進出第一弾に選ばれたインドネシア。
インドネシアの人々は元来周辺島嶼国と同じく、イモを主食として暮らしてきた民族であった。
インドネシアやフィリピンといった島国では、もともと主食は米や麦ではない。
今でもイモやトウモロコシを主食にして暮らしている島もたくさんあるそうだが、この辺りはイモ文化圏であったのである。
米や麦と言った作物は保存がきき、たくさんの人口を養うことができるが、作るのには水だって肥料がたくさんいる。
一方イモなどの作物は水分が多いから保存はききにくいが、米や麦ほどの肥料は必要がない。
おそらくイモなどは穀物と比べてタンパク質の含有量が少ないから、それほどたくさんの肥料(窒素)はいらないのだろう。
がだからこそ、これらの国々の人々は焼き畑農法で森林を焼いても充分暮らせてこれた。
イモ栽培では穀物生産ほど地力は落ちないし規模も小さい。
だから地力が落ちて作物ができなくなった頃には以前に放棄した土地が何とか森林に回復していたのだ。