食糧自給率アップのために、やるべきだったこととは?

食糧自給率を上げるには、選択肢は1つしかなかった。

 

何しろ日本には、最大でも500万ヘクタールしか農地がないのである。

 

だから小麦やトウモロコシなどの穀物を国内でいくらか自給しようとしたら、農家に米作りをやめさせてこれらを生産させるようにし向けなければならないはずである。

 

だが、政府は米農家に対してブレーキを踏むどころかアクセルを入れっ放しにした

 

政府買い入れ米価には「不足払い制度」ではなしに、農工間隔差を埋めるという「生産費および所得補償方式」を用い、米作農家に強い米作インセンティブを与え続けた。

 

これは「工業で働く労働者の所得と、米を作る農家の所得を同水準に保つ」という名目で導入された制度であったのだが、このために米農家は転作せずともやっていけることとなった。

 


土地も持たず、家さえ間借りで育ったボクなどからしてみると、「戦前の小作農じゃあるまいに、なぜ自作農であり経営者である米作農家を街の雇われ工業労働者と同列に扱わねばならないんだ?土地を持ち、家屋敷を持ち、食い物を自前で生産できる農家に、一体なぜ補償せねばならんのだ?」という感じなのであるが、とにかく国は地主である米作り農家にそうした「報賞」を与え続けた。

 

お陰で小麦や大豆やトウモロコシなどの需要が増えているにもかかわらず、全国平均で130%以上もあった土地利用率(1960)も102%(1990)にまで落ち込んだ。

 

結局増大する小麦需要・飼料穀物需要・食用油原料需要に応えたのは、アメリカやブラジルなど諸外国の生産者達であった。

 

小麦輸入は増え続け、飼料用のトウモロコシの輸入も増え続け、そして搾油用の大豆や菜種(キャノーラ)などの輸入も増え続けた。

 

お陰で日本は小麦はおろか、和食に欠かせないはずの大豆さえ95%を輸入に頼ることとなり(と言っても殆どが食用油用だが)、納豆用の小粒の大豆さえアメリカの生産者に作ってもらう羽目に陥ってしまった

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