緑の革命(グリーン・レボリューション)とは?

インドネシアの農業生産を増やした「緑の革命(グリーン・レボリューション)」とは国連や先進国が主導して、途上国の農業生産力や自給率をアップさせようと言う試みであった。

 

食糧自給率が上がれば人々は穏やかになり、局地的な紛争や戦争も収まるだろう。

 

途上国の衛生状態や健康状態も改善し、病気も減るだろう…そんな感じのプロジェクトであった。

 

だがその内容はただ先進国の農業技術を途上国に移植し、途上国でも先進国同様「集約的農業」を行わせようというだけのものであった。

 

ヨーロッパの先進国はそういう農法を実は約三百年もの歳月をかけて築き上げ、それによってとうとう飢餓を克服したのである。

 

だからきっとそれで上手くいくだろうという目算だったに違いない。

 

だから「緑の革命」はヨーロッパスタイルの農業同様、

  • かんがい設備の整備
  • 化学資材(化学肥料・農薬)の投入、
  • 新品種(多収量品種)とその管理技術の教育
という三つの資源を途上国に投入するという形で始まった。

 

川の上流にダムを作り水資源を確保する。

 

そうしてその水を上手く分配し効率よく生産する。

 

肥料や農薬を使って生産を安定させ、肥料に強い多収量品種で米や小麦を大量生産する。

 

そうすればきっと先進国のように食糧の増産ができ、飢餓を克服できるだろう。

 

食料品が安定的に供給されればさらに国情も安定し、平和な世界ができあがるだろう。

 

そういう考えだったのである。

 



上流にダムを造ったらなぜか作物の出来が悪くなった

緑の革命・グリーンレボリューションは、先進国の農業技術を途上国に移植して、途上国の農業生産性と生産力を上げようと言う試みであった。

 

ところが結果は惨憺たるモノで、かんがい一つ取っても一筋縄ではいかない問題だった。

 

というのも途上国の事情は、ヨーロッパの事情とかなり違っていたからである。

 

たとえばエジプトのナイル川。

 

エジプトのナイル川は毎年のように水が氾濫し、洪水を引き起こすことで有名な大河であった。

 

洪水は毎年農地を荒らし、そして農業生産を圧迫した。

 

エジプトの天文学はナイル川がいつ頃氾濫を起こすのか知るために発展したのだという話もある。

 

エジプトの測量学は土砂で埋まった土地を測量して再開発するために発達したのだという説もある。

 

だから毎年のように氾濫を起こし、下流の農地を荒らし回るナイル川をうまく制御できれば、毎年安定的に農業生産が行えるだろうと人々は長年に渡って考えてきた。

 

「洪水さえなければ」と無い物ねだりのようなことをずっと考えていた。

 

だから先進国が巨費を投じてナイル川の上流にアスワン・ダムを作ろうという話が現実化したときには、人々はそれに大きな期待を掛けた。

 

「これで安心して農業が営める!」そんな感じで胸を膨らませた。

 

ところが苦心惨憺を重ねて実際にアスワン・ダムを作ってみたら、なんと下流の農業がどういうわけだか上手くいかなくなりだしたのであった。

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