トウモロコシが中国の人口を増やす

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作物を同じ土地で作り続けることは難しい。

 

なぜかというと連作障害が発生するからだ。

 

米や麦・トウモロコシなどの穀物などを栽培すると、その作物は土地のミネラルを吸収して育つ。

 

逆に言うと土地から大量にミネラルを奪う。

 

そうなると次のシーズンにはもう栽培しても育たなくなる。

 

米みたいに毎年取れる穀物は例外的な作物で、普通は3年も同じ作物を栽培すると、それ以降はもう収穫できなくなる。

 

なぜなら土地に、栽培できるほどの地力が無くなってしまうからだ。

 

たとえばトウモロコシを栽培した経験がある人ならわかると思うが、トウモロコシというのは非常に育てやすい作物だ。

 

種をまいて肥料をやればグングン大きくなって、人間の背丈より大きくなる。

 

傾斜地や荒れ地でも育つので、平坦な土地でなくても栽培できる。

 

なので山間地を使って栽培することも出来てフロンティア農業にも適した作物である。

 

中国では18世紀から19世紀中頃までに人口が1億4千万人から4億人までに増えているのだが、これはトウモロコシやサツマイモが中国に伝わって山間地での栽培が広まったことで増えたらしい。

 

中国は面積こそ広いが、農業に適した土地が少ないので、トウモロコシのような山間地でも育つ作物が広まったことで、山でも大勢が住めるようになっていったわけだ。

 



亜鉛がないと植物は育たない

18世紀初頭、中国にトウモロコシやサツマイモが伝わった。

 

山間地でもグングン育つトウモロコシのおかげで中国では人口が2倍以上に増えた。

 

トウモロコシは労働者の食べ物として重宝され、どんどん森林を伐採して焼き畑にし、そこでトウモロコシなどを栽培したわけだ。

 

ところがグングン育つというのは逆に言うと「肥料食い」作物であると言うことで、清代の中国でもだんだん連作障害が出始めた。

 

植物を育てるのに必要な三大肥料は窒素、カリ、リン酸の三つである。

 

その次に必要なのがカルシウムとマグネシウム。

 

ただし微量ミネラルである亜鉛も必要である。

 

亜鉛というのは細胞分裂の際に必要なミネラルなので、これがないと植物の栽培は出来ない。

 

人間の背丈より高くなるトウモロコシの場合、窒素・カリ(カリウム)・リン酸の三大肥料の他、カルシウムやマグネシウムも土壌から大量に奪う。

 

さらにトウモロコシは亜鉛もたくさん吸収する。

 

というのもトウモロコシは玄米と比べても亜鉛の含有量が2倍以上あるのだが、逆に言うとそれだけ土地から亜鉛を奪うと言うことでもある。

 

なのでトウモロコシが栽培地で食べられて地域内でミネラル循環ができている間は良かったが、商品作物として他地域に売られるようになると、土地からドンドン地力が失われて連作障害が発生することになった。

 

トウモロコシが栽培できなくなった土地は放棄され、どんどん森林が伐採されて土壌流出が始まった。

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