農業が、途上国の環境を破壊した!

トウモロコシという作物が伝わったために、清代中国では人口が2倍になるほど繁栄した。

 

ところがトウモロコシ栽培は傾斜地や山間地で行われたため貴重な環境資源である森林はドンドン伐採され、トウモロコシ畑になった。

 

戦後のインドネシアでも、稲作が広まった結果、焼き畑農法が出来た豊かな森林が伐採され水田に変えられてしまった。

 

しかし山奥の水源地の森林までなぎ倒され、傾斜地にいい加減に切り開かれた畠では土砂が崩れて表土が流出しはじめていった。

 

雨が降ると山には樹がないから雨水はすぐに川へと流れだし、川は川で周囲の傾斜地の畠から土砂が流れて底が埋まっているから、すぐにあふれて洪水になりだした。

 

田んぼは田んぼで排水設備が整っていないから湿田化し、塩も上がってきて耕作不能になっていった。

 

大規模に害虫が発生し、農作物を食い荒らした。

 

そんなこんなで気が付いてみれば、いつの間にやらかんがい排水設備が整った農地でしか、農作物がまともに取れなくなっていた。

 



持続可能な農業でないと意味がない

フロンティア農業ではそうして、さんざん森林破壊をした挙げ句、農地が耕作放棄されるという結果になって限界に達するわけだ。

 

今でもアマゾン川流域の熱帯雨林では、毎年約2万平方キロメートルの熱帯雨林が伐採されて、スイスや台湾島より大きな面積が畑になっているようだがこうして農業によって環境破壊が進んでいくわけである。

 

事情はフィリピンでもタイ東北部でも中国奥地でも皆同じである。

 

東南アジアの国々ではそうして農地開拓のための無秩序な森林伐採を行ったお陰で、ドンドン水源地の森林を減らしている。

 

そしてそのお陰でやはり洪水が増え、病害虫が大発生し、そしてなんと農地までもどんどん減らしている。

 

食糧生産を増やそうと農地を開拓して、逆に農地も森林も減らしているというのだからとんでもない話である。

 

対策としてアグロ・フォレストリー(林業とリンクした農業)やテラスフィールド(段々畑のようにして表土流出を防ぐ)に関心が向けられ、そして単一生産ではなく複合生産で農業を行うような方向に政策が変更され始めたが、果たしてそれでどこまで効果が上がるのかは疑問である。

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