経験(エクスペリエンス)価値は「思い出」を売る。

サービスは、顧客それぞれにカスタマイズされて提供される。

 

だが経験(エクスペリエンス)は、顧客の心の中に「結果的に発生する経験」であり、情緒的内容に富んだ経験を提供する。

 

経験(エクスペリエンス)価値を提供する経験(エクスペリエンス)ステージャーは、そのイベントに魅了された個人の記憶として残る。

 

個人の記憶であるから、それはもう本当に個人的な記憶であって、たとえば同じ時空を過ごした男女でも、最初のデートで覚えていることは必ずしも一致しない。

 

男性はどうやって女性を自分のデート・プランで女性を喜ばせようかとするかに腐心した記憶を持ち、一方女性は男性の服や一挙一動を事細かに覚えていたりする。

 

あるいはディズニーランドに子供を連れて行った親は、子供をコントロールするのに苦労した思い出を持つが、子供はそんなことは知ったことではない。

 

ミッキーがどうした、ミニーがどうした、帰りに喰った焼き肉が旨かった、などという思い出を持っていたりする(とかいうのが久保キリコの漫画にあった)。

 

このようにして人々は同じ時空にいても、記憶してる事柄が違う。

 

がしかし、にもかかわらず、「(いろいろあって)楽しかった思い出」は人々の心の中に長く留まり、またその楽しい思い出を作ろうとしてまたデートをしたり、ディズニーランドに出かけていく。

 

つまり「よい経験(エクスペリエンス)をしたモノはリピーターとなり」「そのための支出や時間は惜しくない」のである。

 



ディズニーランドもパチンコも、提供している物は同じ?

「よい経験をしたモノはリピーターとなり」「そのための支出や時間は惜しくない」。

 

これはパチンコで大勝ちしたら、翌日もまたパチンコしにその店に行くようなもんだ。

 

五万負けようが十万負けようが、また勝つ日を夢見てパチンコしに行く。

 

そのための金や時間は当人にとって貴重なものであり、他のモノより優先される「浪費」である。

 

パチンコ屋はもちろんお客さんに負けてもらいたいが、しかしそのためには「勝つ喜び」を、お客様に味わってもらわねばならない。

 

そのためにテンポの速い音楽を流し照明を工夫し、様々なキャラクターが踊るマシンを取り揃える。

 

他のお客さんの「成功例」をマイクパフォーマンスで紹介し、次はあなたですとあおる。

 

そして一度勝つ喜びを味わったゲストはリピーターとなる。

 

ディズニーランドで楽しさを覚えた顧客が、何度もディズニーランドに出かけるのも、パチンコファンが毎週のようにパチンコに出かけるのも、理屈としてはほとんど代わりはしない。

 

こういうふうに、顧客がいったん満足すると、また同じ様な体験をしようとして、何度も繰り返してお金を出してくれる。

 

これが経験価値・エクスペリエンス価値の特徴だ。

 

NEXT:ブランドとエクスペリエンス


このエントリーをはてなブックマークに追加