デザイン・ツールと意図的インタラクション

デザイン・ツールとは、企業の用意した無数のモジュールの組み合わせから、個客の要望にもっとも近い組み合わせを選び出すための仕組みである。

 

そして意図的インタラクションとは、個客にもっとも適した組み合わせを上手く選んでもらって、より高い満足をしてもらうように担当者を演じさせることである。

 

たとえて言えば親が子供の誕生日やクリスマスに、子供のほしがっていたモノで、親の懐具合に合うプレゼントをいくつにしぼって用意し、それを子供が上手く選ぶように助けてともに喜んでみせる、…といった感じである。

 

デザイン・ツールとしては、

  • 全組み合わせを提示する
  • 選択マトリクスを提示する
  • セグメント別カタログを作る
  • チェックリスト式プロファイル
などがあるが、顧客によりどの方法を好むかは、様々であるからどれが良いかは一概に言えない。

 

企業は顧客に全ての組み合わせを提示することもできるし、全てを秘密にすることもできるので、どのようにそれを示すかが問題となる。

 

これをうまく演出するのが「意図的インタラクション」であり、顧客の苦痛を減らし選択の喜びをもり立てることによって、企業は顧客に心地よい経験価値を提供することができる。

 

そしてまたこのインタラクションを通して、企業は本当の顧客ニーズをつかむことが可能になる。

 

顧客の要望により近い自社サービスを探すうちに、それが自社のラインナップにないことに気づいたり、マイナーであると思っていた商品が、実はあるセグメントの顧客に対しては隠れた人気商品であったり、そう言う情報をつかむことが製造コストも引き下げる。

 

というのもその手の情報に基づいて、オン・デマンド生産体制を整えたり、デマンド・チェーンを構築したりするためには初期投資が必要だが、それさえ整えば売れないモノは作らないわけだから無駄がなくなる。

 


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マスカスタマイズとは、コストダウンと顧客満足を両立させる方法。

思いつくまま商品を多様化して大量生産して市場に出せば、当然膨大なロスや売れ残りが生じることになるし、サプライ・チェーンを綿密に整えたとしてもやはりロスはなくせない。

 

ロスを無くすいい例が、披露宴ビジネスである。

 

結婚披露宴は来る客の数が、何人だかあらかじめ分かっている。

 

注文される食事のメニューもあらかじめ決まっているし、提供する時刻だってほぼ決まっている。

 

だから披露宴では普通のレストランで出るような食材のロスが殆どでない。

 

今日来る顧客が何人で、一体何を注文して食べるか、ハッキリ決まっていない一般のレストランでは、毎日様々な食材を大量に仕入れてお客を待ち、毎日かなりの量の食材をムダにすることになるが、それがない。

 

おまけに支払われる代金だって分かっているのだから、儲けを十分出してもかなり上質のサービスを提供できる。

 

(もちろん上質のサービス提供していないところもたくさんあるだろうが)。

 

マス・カスタマイゼーションはだから、情報収集・分析コストなどを含めても、費用的には今までの大量生産とさほど変わらない。

 

さらなるコストダウンもありうるし、より高いサービスでよりよい収益を得ることも可能である。

 

企業はすぐにでも自社のサプライ・チェーンを改めて、デマンド・チェーンを構築しなければ、激烈なラット・レースのなかでただもがくだけに終始するだろう。

 

マス・カスタマイゼーションとは、これまでの「全ての人に全てのモノを」という考えから「顧客の望むときに顧客の望むモノだけ」提供するということなのである。

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