マネシタ商法の終焉。大量生産方式は、もはや顧客の変化についていけない。

マネシタ商法の終焉。大量生産方式は、もはや顧客の変化についていけない。

さらば価格競争。コモディティ化の罠から抜け出せ!―コモディティ、製品、サービスに続く、第四の経済価値「経験」

マネシタ商法の終焉。

企業は一刻も早くサプライ・チェーンを解体し、
「デマンド・チェーン」を構築せねばならない。

 

規模とスピードだけで商品やサービスを大量供給し、
顧客の口をこじ開けて
自社の商品を押し込もうなんていう考えは、
それで今まで成功してきた人間といっしょに、
どこかに捨ててしまった方がよい。

 

ユニクロは中国で安価なフリースを大量生産して、
それを日本に持ち込み大成功したが、
そういう方式のサプライ・チェーンはもはや時代遅れになるだろう。

 

というのもそのような方式は先行すれば利益を出せるが、
やり方を真似られればそれでお終いだからである。

 

顧客が何を求めているかを早く知り、
それをどこよりも速く商品化できるかどうかが、
これからの勝敗を決める。

 

つまりそれがデマンド・チェーン的な考え方なのである。

 

もはや「顧客はこれを欲しがるに違いない」と思って、
モノを作る時代ではなくなった。

 

顧客が「こういうモノがあったら倍の値段でもお金を出して買う!」
というような商品やサービスを見つけ出し、
それをいち早く大量生産できる企業が、
これからの勝ち組になるのである。


ユニクロは新規出店しか売り上げを上げられなくなる

もちろん未知なる顧客ニーズの発掘の重要性は、
今に始まった話ではない。

 

「ウォンツ」だとか「マクスド・ニーズ」「カバード・ニーズ」などと呼ばれ、
日本でも何十年も前から強調されてきた。

 

だがこれまではそういう商品やサービスの芽を見つけても、
なかなか商品化して成功につなげることができなかった。

 

技術的に開発できても大量生産しようとすると、
工場の土地から機械から全て「自社で」一から整えなければならず、
大量生産に至るまでのコストや時間がとんでもなくかかった。

 

ソニーがまだ単なるオーディオ・メーカーであった頃、
松下幸之助が
「うちにはソニーさんという有り難い開発部がおます」
などと言ったとか言わないとか。

 

ソニーという会社が若者のウォンツやカバード・ニーズを発掘し、
成功しそうならすぐにその真似をして、
大量生産するのが松下電器という図式だった。

 

松下が大量生産技術と販売網を生かし、
新たなニーズが確認されると物量で市場のシェアを抑えてしまう。

 

だから松下電器はよく「マネシタ電器」などと揶揄(やゆ)された。

 

かつてはそう言ったニーズを発掘して商品化することができても、
それを大量生産して売りさばくにはかなりの困難があり、
そのためにソニーはかなりの利益を松下や東芝、
三洋や三菱などといった後発大企業にさらわれていたのである。

 

ところが今や生産技術もコモディティ化されてしまった。

 

韓国や台湾、東南アジア諸国やベトナム、
そして十億人もの働き手を擁する中国といった下請け生産会社が、
「何か作るものはないか」と注文を待ち望んでいる。

 

販売網も「何か売れるモノはないか」と血眼になって、
商品を探している百貨店やスーパーのバイヤーが貸してくれる。

 

だからアイディアとコアの部分の生産技術さえ確立できれば、
商品を大量生産して販売することは比較的簡単になった。

 

ユニクロがフリースというヒット商品を出し、
50色ものカラーバリエーションを週替わりで供給できたのも、
こういった大量生産が外注でできるようになったからである。

 

さもなくばかつてのソニーのように、
どこか大量生産のうまい企業に利益をどんどん持って行かれ、
現在のような大企業とはならなかっただろう。

 

しかしそれでもユニクロの業績は最近下降気味である。

 

商品の安売りは増え、
売れ残った商品のサイズや色は普通のお客さんが買わないモノばかり。

 

つまりユニクロのシステムは、
「ちょっとだけ気の利いたサプライ・チェーン」だったのであり、
決してデマンド・チェーンではなかった。

 

だからお客の欲しくない商品が残っているのである。

 

ユニクロは確かに世間一般の人々のウォンツを発掘し、
そしてまた現実のニーズに合ったモノだったから大ヒットした。

 

がしかしデマンド・チェーンを構築したわけではなかったから
イギリスに店舗を出したり、
トマトなどの野菜栽培に乗り出してみたりしてみても、
ぐに価格競争に巻き込まれ業績が下降する。

 

ユニクロを真似した企業も、
デマンド・チェーンを構築できなければ同じこと。

 

これが現代の経済である。

 

NEXT:顧客ガマン度

スポンサードリンク

このエントリーをはてなブックマークに追加