4つの領域の具体例

4つの領域の具体例

さらば価格競争。コモディティ化の罠から抜け出せ!―コモディティ、製品、サービスに続く、第四の経済価値「経験」

4つの領域の具体例

エクスペリエンスには4つのタイプの経験がある。

 

まずE1領域の経験を求める顧客は、積極的に何かを体験し、何かの知識や技術を身につけようと言う顧客である。

 

一般的な公的教育のほかに塾に通ったり、専門学校に通って何かの専門技術を身につけたり、というような将来の収入に影響を及ぼすようなモノも学習や教育であるが、その一方で「ケイコとマナブ」に載っているようなお花やお茶などの文化教室、ダンスや気功や太極拳などの健康教室、空手や合気道などの武術教室など、それを身につけたからと言って直接収入の多寡には影響を及ぼさないような学習や教育もある。

 

前者は将来の収入に影響を及ぼすことであり、その結果が厳しく判定される。

 

後者はそれを経験すること自体に喜びがあり、それによる結果は大して問われない(大けがは別だが)。

 

E1領域の経験はインタラクティブな経験であり、顧客の働きかけに応じて経験ステージャーは、異なる経験を提供することになる。

 

経験価値を売るという視点から見ると、前者より後者の方が意味があるだろう。

 

E2領域の経験を求める顧客は、ただその場所に行くだけで、何かのエンターテインメントを体験したいという顧客である。

 

この顧客はインタラクティブな経験を求めているわけではなく、受け取るだけの経験を望んでいる。

 

たとえば映画やコンサートなどがそうである。

 

E3領域の経験を求める顧客は、特定の場所に存在することによって、周囲の出来事や環境に没入することを求めている顧客である。

 

E3とE4は、どちらかというと、「日常から飛び出して非日常空間の中に浸る」というタイプの経験だが、参加することによって周囲の環境に影響を及ぼすかどうかがその差である。

 

たとえば美術館に行って美術品を鑑賞する。

 

ディズニーランドに出かけて、ディズニーランドの雰囲気に浸る。

 

だがしかしこの経験はインタラクティブな経験ではない。

 

E3顧客は「本物」と向き合ったり、その雰囲気に没入することを求めているのであって、自分が何かをして相手が反応し、それに対してまた自分が新たな行動をするというようなことを求めているわけではない。

 

ただ楽しむだけ、ただ浸るだけ、である。

 


それに対してE4領域の経験を求めるE4顧客は、日常を飛び出した脱日常空間の中で、自分がそこの登場人物であり、自分の行動がその後の状況を変えるような経験(エクスペリエンス)を求めている。

 

テーマパークの体験型アトラクション、カジノ、バーチャル・リアリティ、チャットルーム、などがこの領域の経験にあたる。

 

テーマパークの体験型アトラクションやカジノが、E4経験に当たるというはよくわかるが、チャットルームがこの領域の経験になるというのも不思議な感じだが、テキストにはトロイ・エイクマンの話が載っている。

 

トロイ・エイクマンというのは、アメリカンフットボールの当時のスターであり、アービン・カーシュナーやエミット・スミスとともに、ダラス・カウボーイズをスーパーボウル優勝に導いたスーパーQBであるが、そのエイクマンがAOLのチャットルームにはまっているというのだ。

 

「テキサス・ルームにアクセスして、いろんな人と会話できるのが非常に楽しい。

 

そこで私はファンと同じ立場に立つことができる。

 

私が誰だか知らない人人と普通の会話ができるのが楽しいのだ」(テキストA69ページ)。

 

トロイ・エイクマンのような有名人は、常に周囲の目にさらされている。

 

有名人として存在している日常から飛び出し、名もない一人の人間として参加できるチャットルームは、彼に日常とは異なる経験をもたらす。

 

そしてもちろん普通の名もない一般人は、逆にバーチャル空間ではスターとして存在したり、そのように振る舞ったりすることも可能である。

 

日常とは異なる空間で、普段とは異なる人格や立場で、プレイできるというところにE4領域の経験の価値がある。

 

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